お世辞は偉大な文化です

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文化

令和4年7月22日

 

お世辞は偉大な文化です。

なぜなら、世の人々はお世辞によって、その相互関係を円滑に運ぶことができるからです。また夫婦や家族との生活に、友人や知人との交流に、お世辞ほど順応するものはないからです。仮にそれが本意からのものではなかったとしても、聞いている本人は決して悪い気をおこすこともありません。時間もかからず、費用もかからず、手続きもいりません。

フランスの男性は女性に出会ったら、その服装を一日に何度もほめるよう、子供の時から教育されます。なんという賢明な風習でしょうか。たとえば、男性は5年前の自分の服装など思い出すこともありませんし、思い出そうともしません。しかし、女性は5年前の自分の服装を克明に記憶し、それが似合っていたかどうかをいつまでも気にします。男性は服装に対する女性の努力に対して、美しく見られたいという女性の努力に対して、ほとんど無知であることがわかっていません。そして、この女性に対する無知が、人生の幸福を大きく失っていることもわかっていません。

初対面のカップルが目の前に現れた時、女性ならまず男性よりも、相手の女性の服装を見るでしょう。しかし男性は、女性の服装などほとんど関心を持ちません。その時、その女性の服装にほんのわずかでもお世辞がいえるほどならば、その男性の運命は必ず変わります。自分の服装をほめてくれた男性を、その女性は生涯忘れることがないからです。こうした女性が世の中のあちこちにいるだけで、男性の運命は大きく変わることを、私が保証します。そして、女性にお世辞がいえるようになると、男性に対しても同じことがいえるようになるものです。

ところで、私はある時、お経というものは仏さまに対するお世辞の文面だということに気づきました。その仏さまがいかに偉大であるか、どんな修行を積んだか、どんな功徳があるか、あれでもかこれでもかと並べ讃えた文面が、すなわちお経なのです。だから、私は毎日、お大師さまの前でお世辞ばかりを唱えて生きていることになります。そして、唱えれば唱えるほど、どの仏さまも私に好意を寄せてくださり、私はますます仏さまの功徳をいただいているということになります。

ウソだと思う方は、仏像や仏画に向ってお経を唱えてみてください。唱え終ると、その仏さまがかすかにほほ笑んでくださることがわかるはずです。それは皆様に、仏さまが好意を寄せてくださったからなのです。お経が偉大な文化なら、その文面であるお世辞もまた偉大な文化です。皆様、大いにお世辞でほめましょう。特に、女性には一日に何度もほめましょう。偉大な文化です。

山路天酬密教私塾

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