「苦悩する力」の大切さ

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人生

令和8年5月27日

 

昨夜は寝床で、脳科学者・中野信子さんの『悩みと上手につきあう脳科学の言葉』(プレジデント社・写真)という本をめくりつつ、眠りにつきました。数年前にコンビニで見つけ、何となく買ったまま忘れていた本です。

私は寝つきがいいので、ほんの数ページを読んだだけなのですが、「悩みとは学習のためのフィードバックである」という言葉だけは記憶に残っています。つまり、悩みは人間を学習させるための仕組みだということなのでしょう。「うまいことを言うな」と思いつつ、もう夢の世界でした。

中野さんの主張は脳科学の立場からですが、同じことが仏教からも言えると思います。つまり、人生の苦悩は私たちの宿業しゅくごう(カルマ)を修正させようとする働きであるからです。人生とは原因と結果のくり返しです。善因善果・悪因悪果であり、自業自得です。どんな苦悩にも、その原因は自分にあります。しかし、同時にそれは、その原因を修正させようとする生命の善導なのだと私は思います。この相反する矛盾が同時進行するところに、人生の真実があります。何もかも自業自得で終っては、救われようがありません。

わかりやすくお話をするなら、病気は人生の大きな苦悩です。病気にはもちろん原因がありましょう。生活習慣から、ストレスから、ひょっとしたら前世からの宿業からかも知れませんし、先祖の霊障かも知れません。しかし、病気とは何でしょう。痛みも熱も、それは健康を維持しようとする、生命の尊い働きです。病気になれば、あわてて病院へ行くでしょう。だから、何とか健康を維持できるのです。痛みも熱もなければ、何も気づきません。それで終りです。私たちは病気をするから、健康を維持できるのです。

苦悩はつらいものです。何で自分だけが、と思うはずです。だから、人生は修行なのでしょう。つらいことですが、この「苦悩する力」こそ、生命の救済です。そして、その先に人生の喜びがあるはずです。

山路天酬密教私塾

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