地獄と極楽

カテゴリー
仏教

令和元年5月14日

 

皆様は極楽とやらに行きたいでしょうか? 極楽浄土とやらで、幸せに暮らしたい、思いを寄せる人と今度こそは添い遂げたいと、そのように思いますでしょうか?

では、その極楽とはどんなところなのでしょうか。また極楽浄土はどこにあるのか、そんなことを考えたことはありませんか。

一般に連想される極楽とは、きれいなお花畑に囲まれ、黄金や宝石で作られた宮殿があり、甘露のような小川が流れ、住む人も善人ばかりで、毎日ご馳走ちそうを食べながら歌ったり踊ったりしているような、そんなイメージではないかと思います。

皆様、いかがでしょうか? 本当にこんなところで暮らしたいと思いますか?

こんなところで、毎日フランス料理のフルコースばかり食べさせられるのなら、私だったら真っ先にお断りです(笑)。炊きたてのご飯に、納豆があればけっこうです。第一、退屈千万でやりきれたものじゃない。気づかいの多いダンスパーティーも遠慮いたします。地獄へ行きたいとは思いませんけれども、もう少し苦労がある生活を、苦労を〝楽しむ〟ほどの生活がしたいと、私は思うのですよ。

地獄も極楽も、〝ここ〟にあるのです。こことは、私たちの心です。心が幸せと思えば、それが極楽なのです。焼けるほどの恨みや憎しみに苦しめば、それが地獄なのです。その苦しみを乗り越えて、幸せと思う瞬間があるなら、それが極楽です。

苦しみが消えるから、そこに極楽が訪れるのではありません。その苦しみの中に幸せを見いだせるなら、そこが極楽なのです。地獄も極楽も共にあるのです。私は二十歳の折、イヤというほどの地獄を味わいました。でもそんな中でわずかな幸せを感じた時、これが極楽なのかと知りました。

極楽へ行こうなどとは思わぬことです。でも、襲いかかる地獄を喜んで受け入れるほどになれば、皆様は望まずとも極楽へ行けるのです。そうなのですよ。必ずね。

 

 

山路天酬密教私塾

詳しくはここをクリックタップ