成すは易く、守るは難し

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人生

令和元年9月3日

 

昨日は「組織の膨張ぼうちょう衰退すいたいをもたらす」という、パーキンソンの法則をお話しました。企業が売り上げを伸ばして本社ビルが建つや、安堵感あんどかんから慢心まんしんをおこし、加えて新築による経費の増大から、経営が悪化する例が多いということでした。今日はその延長として、個人の業績についてお話をいたしましょう。

たとえば、芥川賞や直木賞に輝いた新人作家の、はたして何人が存続しているでしょうか。デビュー当時の作品は、たとえどこかに未熟さはあっても、勢いがあるものです。しかし、その勢いを保ち、かつ新鮮な作品を発表し続けるということは容易ではありません。たいていは作品のネタすらも尽きます。私は今どきの文壇に詳しいわけではありませんが、この傾向は多分にあるはずです。

このことは、芸術や芸能、またスポーツにおいても同じでしょう。デビュー当時の作品や記録はすばらしくとも、それを存続させることが大変なのです。私の知っているある歌手などは、始めにヒットを飛ばしましたが、続きませんでした。だから、死して今なお人気のある、美空ひばりや石原裕次郎などは、本当にすごい人なのです。スポーツではよく「追われる立場」と言いますが、オリンピックの金メダリストなどは当然、世界中から徹底的に研究されます。そんな中で絶対王者を守ることは、至難としか言いようがありません。

私たちが関わるどのような職業や趣味においても、このことは大きな教訓でもありましょう。物ごとを始めて、それを大成させることも大変ですが、存続させることはさらに大変です。まさに、「すはやすく、守るはかたし」なのです。才能があってそれを発揮しても、その業績を守れるのは、必死の努力に加えた何かが必要なのです。

山路天酬密教私塾

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