続・パーキンソンの法則

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社会

令和元年9月2日

 

若い頃、住んでいた所の近くに、とても繁昌してるうどん屋さんがありました。

特に昼時になると、10メートルほどの行列ができるのです。ただ、店構えはプレハブ作りで、とても古いものでした。私はそこを通りがかっただけで、一度もそのお店に入ったことはありません。でも、そのうち新装開店になるのだろうと思っていました。そして予想どおり、やがて立派なお店が新築されました。常連のお客さんも喜んだはずです。

もちろん、始めは以前のように行列もできました。ところが、しだいに「おや?」と思うほど客数が減っていきました。行列も見られなくなっていったのです。そして、とうとうそのお店は解体され、まったく別の建物にと変わりました。

私は、このような例をほかにも知っています。食べ物屋さんの店構えが変わると、シェフが変って味も変わるのでしょうか。それとも返済のため、経費節減で素材まで落としたのでしょうか。

実はここにも、「組織の膨張ぼうちょう衰退すいたいをもたらす」というパーキンソンの法則があるのです。彼は企業が建物の新築を計画すると、そこから崩壊ほうかいきざしが見えることを発見しました。なぜなら、発展に向かっている間は仕事への情熱が先で、店構えや本社ビルなど眼中にありません。ところが、多いに利益を得て建物が変わると、慢心まんしんがおこるのです。ここまでになったという安堵感あんどかんが慢心を呼び、経営を悪化させることが多いのです。さらに、新築による経費は予想以上に増大します。あのうどん屋さんのみならず、バブル期の新築が崩壊を招いた例はキリがありません。

もちろん、逆に急成長を遂げる例はありましょう。しかし、この法則にも自戒すべき要素は多いはずです。貧しくとも情熱に燃えていると、それが仕事にも現れます。まさに、「貧しき者は幸いなり」なのです。私にも身に覚えがあることです。

山路天酬密教私塾

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