熱しやすく、冷めやすい人

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人間

令和元年7月22日

 

この道に入って四十年もたちますので、さまざまな人々と出会いました。

よく思うことですが、熱しやすい人は、たしかに冷めやすい傾向があるようです。たとえば私の寺を気に入っていただけるのはよいのですが、ほとんど毎日のようにいらっしゃる方がおりました。

そのうちに、だんだんと親しくなりますから、土産物みやげものなどを持参するようになります。さらに、私の身の回りのものまで買い求めるようになり、プライベートな生活にまで入り込もうとします。そうなると独占欲が現れますから、まわりの方々とうまくいくはずがありません。結局はしだいに身の置きどころを失い、急速に遠ざかってしまいます。

このような方は、人と人との空気が読めないのでしょう。熱しやすい分だけ、自分の視野しか見えません。勢いに乗って突っ走るだけに、すぐに燃料が切れるか、エンストをおこすのです。これに対して、時々はいらっしゃるものの、気に入っているのか、どうなのかが読みにくい方もおります。しかし、こんな方こそ地味なおつき合いが続き、私にとっても大事なご信徒になるものなのです。人は見た目も大事ですが、見た目でけではわからないのもまた事実なのです。

このことは世の中を見てもわかります。あまりに急速な成長は、必ずどこかで無理が生じるのです。一挙に売り上げが伸びた商品は、残念ながら一挙に消えるのです。だから、昔から知られた胃腸薬などは急速に売れ上げが伸びることはありませんが、消えることもありません。大したものだな、と思います。

私たちもいきなり飛びつこうとした時は、少し頭を冷やして考えた方がよさそうです。一夜明けて忘れているようなら、それはもともと、どうでもよかったものかも知れません。本当にやりたいこと、本当に買いたいものは熟慮を重ねても、なお残るはずです。このお話、役に立ちますか、皆様。

山路天酬密教私塾

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