交通事故霊験談①

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先祖供養

令和5年11月8日

 

今回は、私が見聞した三名の方の交通事故霊験談をお話したいと思います。もちろん、すべて実話です。

はじめはご信徒のお子さんS君(男子)で、当時5歳でした。場所は東京都文京区内の自宅前の道路上でした。大きな交差点近くで車も多く、もともと交通事故の多い場所であったようです。S君はちょうど自宅とは反対側の歩道におりましたが、自宅側でお母さんがちょうど車が途絶えた折に、渡って来るよう手招きをしました。S君は日ごろから車には充分に注意するよう言い聞かされていましたから、左右を確認して急いで横断しました。

そして、歩道から5メートルほど渡ったその時です。青信号に変って交差点を左折したタクシーが、スピードを上げて突進してきました。お母さんが大声を上げたとたん、S君はタクシーの正面ではねられ、しかも路上に倒れたその体に片方のタイヤが乗り上げました。もちろんタクシーは急いでバックしましたが、現場は大騒ぎです。救急車もすぐに到着しました。

本来なら、ろっ骨はくだけ、肺も破れて当然の事故です。ところが何と、S君は軽い打撲があった程度で、すぐに自宅に戻って来ました。両親の安堵あんどがいかほどであったかは、想像にかたくはありません。私はこの知らせを受けてただちに、この不思議な霊験を記録すべく、すぐにS君を訪ねました。見れば、着用していた赤いТシャツにはタイヤのあとが生々しく付着しているではありませんか。

私はS君の緊張をやわらげつつ、その時の様子を静かに問いました。ほとんど意識もなく、一瞬の出来事であったことは予想したとおりでありましたが、特記すべきはタクシーにはねられるその瞬間、仏壇の上に飾ってある写真の人が見えたということでした。この家の仏壇には、当主の両親の写真が飾られていることは私も知っていましたので、すぐさま「なるほど!」と思いました。つまり孫を想う祖父母の気持ちが、この霊験を生んだのです。

S君はその祖父母の生前には生まれていませんでしたが、先祖の霊とはこのように結ばれていることの証明でありましょう。私はS君のその赤いТシャツを借り受け、祖父母への報恩供養を修したことは申すまでもありません。先祖供養に熱心な家には、このようなことがおこるというお話です。

山路天酬密教私塾

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