夫婦

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令和元年5月10日

 

近年、結婚式のご召待は遠慮させていただいております。

それでも、以前はまれには出席し、いつも同じ挨拶ばかりしておりました。それは、イギリスの詩人で劇作家のオスカー・ワイルドの言葉から引用したものでした。彼はこんなことを言っています。

「結婚して三日間は男も女も夢中である。三ヶ月間は互いに相手を観察する。そして、三年間はやさしく愛し合う。しかし、後の三十年間はともどもに我慢がまんし合って生活するものである」

いかがでしょうか? 何やら、ハッと胸をつかれたお顔が浮かびますよ。

ところが、この続きがいいのです。

「しかし、この三十年間、お互いすっかり鼻についてから夫婦の本当の愛情が湧き出して来るものである」

いかがですか? でも、いいお話でしょう。つまり、夫婦が本当の夫婦になるには三十年かかるのです。三十年間には、それこそいろいろあったことでしょう。愛想が尽きたり、別れようと思ったり、それでも別れられずに思いと留まったり、まさに〝おもろい夫婦〟だったはずです。でもこの三十年を乗り越えて、本当に夫婦らしい夫婦を見ると、私はホッとするのです。「ああ、夫婦はいいな」と、心から思うのですよ。

結婚式の挨拶ではこんなお話をして、けっこう喜ばれたものでした。二十代は愛情です。しかし、三十代は惰性、四十代は忍耐、五十代で諦観、六十代でやっと感謝です。ちなみに申し上げますが、七十代以降は成仏(!)です。

夫婦は長い旅路、長い苦楽、長い修行ですよ。南無観世音菩薩。

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