令和3年2月20日
若い頃、十代も先祖をたどったらどのくらいの数字になるかと、マジメに計算したことがありました。
どんな人にも父母の2人がいます。その父母には4人の父母がいます。その父母にはまた8人の父母で、三代ですでに14人です。こうして続けると、五代で62人、六代で126人、七代で254人(七世の父母!)、十代では何と2,046人となりました。これは実に驚くべき数字です。
十代前となると、いつ頃なのでしょうか。現代は子供が授かる親の年齢が高くなりました。2010年、第一子を出産した女性の平均年齢がはじめて30才を超え、現在は31才ほどとされています。もちろん、昔はもっと若い時に出産しましたから、夫の年齢も含めて、親子の平均年齢差を仮に26才としましょう。十代で260年前となり、ほぼ江戸時代中期ぐらいです。つまり、江戸時代中期までに、どんな人にも2,046人の先祖がいるということです。
さらに続けましょう。二十代で2097150人、三十代では何と何と、2147483646人で21億を超えるのです。今度は親子の平均年齢差を仮に24才とすると720年前となり、たぶん鎌倉時代末期ぐらいでしょう。つまり、鎌倉時代までの先祖をたどった時、どんな人にも必ず21億を超える先祖がいて、その誰ひとりが欠けても、今日の私たちはこの世に生まれることはなかったということです。
それと、もう一つ。現代の日本人の人口は、たかが1億2千万人程度です。比べものになりません。そうすると、私たちはみな兄弟だともいえるのです。かつて、笹川良一氏が「人類はみな兄弟」とテレビCMで語っていましたが、国民はいささか冷ややかな目で見ていたはずです。しかし、こうした数字に驚くと、まんざらでもないということがわかります。
いや、それどころか、このことはお大師さまが『綜芸種智院の式』(日本初の庶民学校の設立申請書)ですでに主張されていることなのです。すなわち「この世の人々がすべてわが子であるとは釈尊の言葉であり、世界中がみな兄弟であるとは孔子の言葉である」と述べていらっしゃいます。なるほど、人類はみな兄弟と思わねばなりません。お大師さまの教えですよ。私も心がけましょう。