続・腎臓が寿命を決める

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健康

令和2年6月27日

 

漢方には「相似そうじの理論」という考え方があります。つまり、同じ臓器や似たような形のものは、同じはたらきをするという意味です。そんなバカなと思うかも知れませんが、船は魚に似せて作り、飛行機は鳥に似せて作るではありませんか。だから、肝臓の悪い人はレバーを食べればいいし、目の悪い人は魚の目玉を食べればいいということになります。また、クルミは脳の形に似ていますから、頭の悪い人(失礼!)は少しずつ食べるとよいのです。

ところで、〈腎〉はみな下半身の位置にあることは言うまでもありません。樹木にたとえるなら、上半身は幹や枝にあたり、下半身は地中の根にあたります。だから、〈腎〉が弱った〈腎虚〉の症状には、地中の根のもの、つまりゴボウ・ニンジン・レンコン・ヤマイモ・ネギ・玉ネギなどの根菜類を多く食べることです。気づくと思いますが、みな強壮効果があるものばかりです。〈腎〉が精力であり、生命力なのです。

また、〈腎虚〉による老化現象の漢方薬として、よく「八味地黄丸はちみじおうがん」が用いられます。若返りの妙薬として知られていますが、その名のとおり八つの生薬で調合されています。ところが、その中の五つまでが、これまた植物の根なのです。すなわち、山薬さんやく(ヤマイモ)・地黄じおう(アカヤジオウの根)・沢瀉おもだか(サジオモダカの根)・牡丹皮ぼたんぴ(ボタンの根皮)・附子ぶし(トリカブトの根から毒性を除去したもの)と、いかに植物の根を重んじるかが理解されましょう。ただし漢方薬に関しては、専門の医師や薬剤師に相談してください。自己判断で服用してはいけません。

次に〈腎虚〉が進むと、必ず下半身の筋肉が衰えることも知らねばなりません。腹筋が弱くなり、お尻が下がり、太ももが細くなるはずです。したがって、〈腎虚〉に対しては、何をおいても下半身をきたえることが大切です。私は毎日、水平足踏あしぶみ(太ももを床から水平になるまで上げる足踏み)を朝晩それぞれ3分ずつ実行しています。おしゃれな砂時計を用いていますが、予定を考えながらやっている内にアッという間に終ります。その後、腹筋足上げと腕立て伏せを20回ずつ課していますが、これは無理には勧めません。水平足踏みかスクワットがいいでしょう。一生自分の足で歩けることを保証します。

それから下半身を温めることも大切です。シャワーで済ませず、お風呂に入って、特に下半身をよく温めることです。腹巻も「かっこ悪い!」などと思わず、多いに活用しましょう。腰の腎臓の要所を使い捨てのカイロで温めたり、こぶしでたたいたり、指圧することを勧める治療師もいます。

くり返しますが、〈腎〉こそは生命力の根本です。そして、特に「腎臓が寿命を決める」のです。自分でできることを、少しずつ実行しましょう。実行すれば、必ず効果が出ます。生命力の根本は、人生そのものの根本です。

山路天酬密教私塾

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