令和5年2月17日
生きるとは〈息る〉こと、〈息をする〉ことです。だから、生きていくうえで、呼吸ほど大切なものはありません。健康は呼吸で決まるとさえいえるのです。よい呼吸をすれば健康になり、悪い呼吸をすれば健康を害するのです。
私たちは「食べていけるのか」「何を食べようか」と、食べることは忘れません。しかし、食事をせずとも何日かは生きていけますが、呼吸が止まれば、もはや生きていくことはできません。呼吸は生命を守る一大事であるのに、むしろ食事より大事であるのに、人は何も考えなければ、ケアもしないのです。これは誰が考えても、おかしなことです。
私たちは1分間に約15回、1日に約2万回、1年間に約730万回の呼吸をします。しかも、片時も休むことがありません。空気中の酸素を体内に取り入れ、栄養素を燃焼させてエネルギーに変え、これを生涯にわたって繰り返しているのです。ところが食事と同様、よい呼吸を習慣にして健康な人もいれば、残念ながら悪い呼吸によって不調を招いている人が多いのも事実です。
では、よい呼吸とは何でしょうか。それは深くて乱れのない呼吸です。反対に悪い呼吸とは浅くて乱れの多い呼吸です。実は、ここで健康の差が出るのです。皆様は「乱れた呼吸など、するはずがない」と思うでしょうか。では、悩みや苦しみを抱えた時、どんな呼吸をしているでしょうか。あるいは不安や怒りを覚えた時、どんな呼吸をしているでしょうか。このような状況に陥いると、人はゼイゼイ、ハアハアとまではいかずとも、大変に浅い、乱れた呼吸をしています。
そうすると、酸素が不十分となり、エネルギーを生み出せません。自律神経が乱れ、体内の機能が低下します。疲労が重なり、健康までも害するのです。呼吸は私たちが意識している以上に、はるかに大きなレベルにあることがわかりますでしょうか。健康法は数限りなくありますが、呼吸に無関心であることは、まるで足もとで墓穴を掘っているようなものです。
私はいつも〈声出し健康法〉をおすすめしていますが、これは深くて乱れのない呼吸そのものであるからです。もう、おわかりでしょう。お寺で読経をすることは、最高の健康法です。ストレスを解消し、心を平安に導きます。臓器の衰えを防ぎ、老化までも遅らせます。しかも、仏さまには法楽となり、先祖には供養となります。
私はさらに、吹奏楽器(あるいは類した健康機具)による呼吸筋の鍛錬もおすすめしています。つまり、肺を膨らませる筋肉を強化することです。私は毎日のお護摩で法螺貝を吹きますので、この点でも幸運この上がありません(写真)。
皆様もハーモニカや笛など、呼吸筋に関わる楽器に親しんでみてください。口元やほうれい線などにも効果テキメンで、美顔に導くことを保証します。顔の表情も豊かになりますよ。実は「私が証明です!」といいたいのですが(笑)。