続・逆説の真理

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仏教

令和3年6月13日

 

「健康で長生きをしたければ、病気になることだ」と、お話をしました。冗談でお話をしたのではありません。マジメなお話です。仏教はこのように、「逆説の真理」を説くことが多いのです。おわかりいただけましたでしょうか。

普通の常識からすれば〝常識はずれ〟と思うことでも、よく考えれば、当りまえのことであることがわかるはずです。決して〈非常識〉ではありません。強いて申し上げれば、〈超常識〉でしょうか。仏教にはこの超常識がたくさん出てきます。

病気ばかりではありません。人はみな、苦しみや悩みを味わうからこそ、目覚めるのです。腹を立ててケンカをしたり、悪口を言ってヤケをおこしたりするのは、どこかで世の中のルールに合わないからです。その分の苦しみも悩みも味わいます。しかし、そのルールに合わない自分に目覚めねば、何も変わりません。痛い目にあわねば、何も変わりません。だから、変わるためのチャンスを与えられているということです。苦しみも悩みもチャンスだということです。

私も若い頃はそれがわからず、さんざんに苦しみ、さんざんに悩みました。自分の意に反すれば腹を立て、気に入らない意見を聞けば反論をしました。腹を立てて声を荒げたところで、何もえきすることはありません。反論(議論ではなく)をして相手を攻略したところで、何も益することはありまん。あと味の悪さが残るに過ぎません。そして、そういう自分の煩悩ぼんのうに苦しみ、悩んでいたものでした。

今でも、煩悩は相変わらず消えません。でも、仏教に触れ、お大師さまの教えに出会ったおかげで、少しだけ変わりました。そして、変わるチャンスは誰でも平等に与えられていることを知りました。皆様が苦しんでいること、悩んでいることがご自分の真実です。そして、変わるためのチャンスなのです。

もうすぐ、蓮の花が咲きましょう。きたない煩悩のどろから、清らかな悟りの花が咲きましょう。お釈迦さまやお大師さまがこの世に出現されたのは、この世に蓮の花があるからです。ぜひ、ご覧になってください。そして、その声を聞いてください。「苦しみなさい、悩みなさい、そしてこのように咲きなさい」と。

チャンスはどこにでもあります。足もとにあります。それに目覚めましょう。仏さまの教えですよ。

山路天酬密教私塾

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