蕎麦を楽しむ

カテゴリー
食事

令和2年2月21日

 

今日は寺に集まった方々と、蕎麦そばを食べました。

私の郷里(栃木県の農村)ではワサビがありません。そこで、きのこ汁やけんちん汁で食べたものでした。いま私たちが食べている蕎麦は、江戸時代には「蕎麦切そばきり」と呼ばれ、異説もありますが木曽の本山宿もとやまじゅくが発祥地とされています。友人の寺が本山宿に近く、案内していただいたことがあります。つまり、それまでの蕎麦は「蕎麦がき」で食べていたのです。また、僧侶が山に入る時、蕎麦粉そばこを持参して、それを水で溶いて常食していました。

私は子供の頃からの味なので、いつもキノコ汁で食べています。料理は職人くささがなく、素人風しろうとふうであることが大切です。プロの味は、時おり外食で楽しむ方がよいでしょう。今日も私が素人風に作りました。

ところで、食事はむ音や食器の音を立てないのがマナーでありながら、蕎麦ばかりはズルズルッと音を立ててよいことになっています。皆様はこの理由がわかりますでしょうか。

実は、蕎麦の醍醐だいごみ味はかおりとのどごしにあるからなのです。まず、最初はつゆを付けずにゆっくりと香りを楽しんで食べます。それから、三分の一ほどをつゆに付けて、ズルズルッと一気に喉ごしを味わいます。蕎麦はうどんほど太くはなく、中華めんのようにちぢれてもいません。だから、音を立てて素早すばやく口に入れないと、つゆの味が台なしになるのです。また、素早く口に入れることで空気も口の中に入り、それが鼻にぬける時に蕎麦の香りが味わえるという理由もあります。

さて、今日は出来あがった蕎麦を写真に撮り、このブログを書く予定でした。ところが、何と、あまりのおいしさに、写真のことなどすっかり忘れて〝一気に〟食べてしまいました。写真のことを思い出したのは、すでに全部を平らげた後のことでした(写真)。

ご覧のとおり、もはやキノコ汁すら残っていません。この食卓のまわりに、私の蕎麦にありついた大食漢たいしょくかんたちが笑っています。大変に、大変に失礼しました。次回は、私の蕎麦をしっかりと写真に撮りますからね。ゴメンナサイ。

山路天酬密教私塾

詳しくはここをクリックタップ