神さまへの接待

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真言密教

令和4年11月12日

 

皆様は仏教において〈神さま〉と〈仏さま〉とどちらがお偉いのか、おわかりでしょうか。

神棚の方が上にあるから、神さまだと思いますか。いやいや、答えはもちろん「ノー」です。仏教におきましては、仏さまを守護するお役を担当するのが神さまで、山門の仁王さま、鎮守のお稲荷さまや龍神さまなど、そういう意味なのです。だから、仏教では当然、仏さまの方がお偉いことになります。ここまではいいですよね。

ところが、真言密教ではその神さまには二種類があると教えています。一種は仏さまが仮の姿として神さまに化身した場合で、これを「権類ごんるいの神」と呼びます。〈権〉とは〈仮の〉という意味ですから、「ごんげん」という呼称も、権類の神ということになります。権類の神は仏さまと同体なので、護摩壇のように壇線だんせん(護摩壇を囲む五色の線)によって結界けっかい(ガード)されていても、中に入って接待(供養)を受けてくださいます。

これに対して、もう一種はもともとの神さま、つまり土着の神さまです。まだ仏教に帰依きえしてはいませんので、仏さまと同じように接待を受けることができません。これを「実類じつるいの神」と呼びます。ただ、権類も実類も同じ名前、同じ姿であるところがやっかいです。では、実類の神はどのように接待するのかといいますと、神供壇じんぐだんという法具を用います(写真)。

神供壇には十二本のへい(降臨するところ)が立てられいていて、主に十二天じゅうにてん(東北・東・東南等の八方天と梵天・地天・日天・月天)を接待します。右には香水こうずい五穀粥ごこくがゆなどを用意しますが、真言密教の僧侶は、権類の神は護摩壇にて、実類の神は神供壇にて修するということになります。わかりましたでしょうか。

こうしてお話をすると、神さまへの接待も、なかなかに大変です。私は毎日のお護摩で権類の神(十二天)を接待していますが、神供はめったにできません。でも、縁あってあさか大師が建立されたわけですから、実類の神も大切にしなければと考えています。五穀粥と書きましたが、次回はインドのお粥についてお話をしましょう。お楽しみに。

山路天酬密教私塾

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