健康法に振り回されていませんか

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令和5年3月10日

 

20年ほど前、新谷弘実しんやひろみ著の『病気にならない生き方』(写真右)という本がベストセラーになりました。ところがその後、辨野義己べんのよしみ著『病気にならない生き方で、なる病気』(写真左)という本が刊行され、話題を呼びました(笑)。

双方を読んでみると、最も大きな論点の違いは牛乳でした。前著は牛乳は子牛の飲み物であるから、乳製品は絶対にいけないと主張し、後著は牛乳やヨーグルトをとらずして、どうやって健康になれるのかと主張しています。私は当時、牛乳やヨーグルトが合う人もいれば、合わない人がいるのは当然なのに、どうしてこんな大騒ぎをするのかと苦笑したものでした。考えてみれば、ただそれだけのことではありませんか。

ところが、こうした反対意見は枚挙にいとまがありません。いま、私の脳裏に思いつくままを列記してみましょう。

まず、皆様が関心のある糖質制限です。本来は糖尿病患者の食事として提案された糖質制限ですが、これがダイエット法として火をつけました。江部康二えべこうじ著の一連の書籍がかなり売れていたと思います。ところが、これに真っ向から反対した方もいました。幕内まくうち秀夫著の『世にも恐ろしい糖質制限食ダイエット』や石原結實いしはらゆうみ著の『「糖質制限」は危険!』などがその代表です。私は糖質制限については糖尿病の方には勧めた経験がありますが、ダイエット法としては疑問がありました。実際に自分で試しても、確かに脂肪は落ちましたが、体力までも落ちたからです。少なくとも日本人がご飯を抜くような食事には、同意できませんでした。

次に朝食をしっかり食べるべきか否かの論争があります。朝食をしっかりとらずして、どうして仕事ができるのかといえば、いや、無理に食べる必要はないともいいます。私の父などは、朝早くから田畑の仕事をしていましたから、朝食をぬく生活などあり得ませんでした。昔の人はそんな生活だったのです。ところが現代人は遅くまで働き、夜遅くに夕食を取りますから、朝から空腹という人は少ないはずです。朝食はその是非ぜひを問うのではなく、生活パターンによって異なるのではないでしょうか。それを一律に論じるのは、おかしいと思うのです。

そのほか、玄米菜食が一番といえば、野菜中心をやめなさいといいます。水を毎日2リットルは飲みなさいといえば、それでは水毒をおこすといいます。赤ワインが最高だといえば、いや日本酒や焼酎だといいます。朝のジョギングをしましょうといえば、それでは心臓に負担がかかるといいます。そしてついに、年に一度は健康診断を受けましょうといえば、『人間ドックの9割は間違い』『大往生したけりゃ医療とかかわるな』といった著書まで刊行される始末です。こうなっては、もはや健康法そのものが病気です。

どんな健康法にも、必ず反対意見があるのです。自分の健康法は、自分で見出す以外にありません。そんなことは当たり前なのに、みんなが健康法に振り回されています。大酒を飲んでもタバコを吸っても、長生きをする人はいるのです。仕事の鬼のような人が急死するかと思えば、青白い顔で医者通をしている人が意外に長生きをしていることもあります。

どんな健康法を実行しても、人はいずれ病気になるのです。何十年も生きれば内臓は疲れ、ひざの軟骨も消耗します。それが天命です。天命とはただ待つのではなく、自分の健康法を見い出し、限りある自分の体に納得することです。振り回されてはなりません。しかし、天命を待つ前に、まずは人事を尽くしましょう。

山路天酬密教私塾

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