葛根湯医者

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健康

令和2年1月14日

 

落語に江戸時代の「葛根湯かっこんとう医者」というお話があります。

患者が「風邪を引いた」といってやって来れば葛根湯、「下痢げりをした」と訴えれば葛根湯、湿疹しっしんが出たと騒げば葛根湯と、葛根湯以外は処方しない医者がいたのでしょう。ところが、ほとんどの病気が葛根湯だけで治っていったというのですから、この葛根湯医者もバカにはできません。

どうしてかと言いますと、葛根湯はくずの根・麻黄まおう生姜しょうが大棗たいそう芍薬しゃくやく甘草かんぞうなど、体を温める生薬で作られているからです。葛根湯を服用すると、体が温まり、汗が出て風邪はもちろん、頭痛や肩こりも消えるのです。また下痢や湿疹にも効を奏します。実は、あらゆる病気は〝冷え〟から生じるという説があるくらい、体温の低下は健康を損ねるとされるのです。

ところが、現代人は健康体温の36・5度を保っていない人が急増しています。中には36・0度にも満たない35・0度台や34・0度台の人までいます。34・0度といえば、水に溺れた人が回復するかどうかのギリギリの体温です。では、どうして体温が低いのかと申しますと運動不足やストレスもありますが、夏の冷え過ぎるクーラーやシャワーだけの入浴、体を冷やす南国の果物や冷たい飲み物、医薬品(科学物質)や食品添加物などが考えられます。シャワーは体を逆に冷やしてしまいますし、冷蔵庫で冷えたペットボトルの水やお茶を飲むのも日常的です。これではますます体を冷やしてしまいますから、健康体温を保つ工夫は、現代人の急速な課題といえましょう。

私はまず風邪を引くことはありませんので、葛根湯は服用しません。ただ生姜しょうがばかりはすりおろして常備しています。それを味噌汁・豆腐・煮物・いため物・飲み物など、何にでも加えています。まさに「生姜さまさま」で、生姜がなければ「ショウガナイ!」のです(笑)。

何度もお話しますが、僧侶は声を出すのが仕事ですから、風邪を引いてのどが荒れてはどうにもなりません。皆様もぜひお試しになってください。

山路天酬密教私塾

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