令和4年9月10日
本日は私が親しくおつき合いをした、八丈太鼓(八丈島の郷土芸能)の指導者であったM氏の四十九日法要を挙行し(写真上)、法要後は参列したお弟子さんたちによって〈回し打ち〉の供養が捧げられました(写真下)。長年にわたって回忌法要を司ってまいりましたが、このような企画は初めてのことで、大変に感銘を受けました。
お弟子さん方は概してお若い年齢層ではありませんでしたが、太鼓を打ち始めると背筋が伸び、リズムに乗って体が躍動していました。週に一度のお稽古を続けていらっしゃるそうで、日ごろの成果が充分に発揮されたように思います。私は改めて、趣味(と一般にいわれるもの)に対する効用のすばらしさを痛感せざるを得ませんでした。
音楽に関しては、そのリズムや響きが右脳(情感を支配する部処)を適度に刺激し、その能力や記憶が蘇生すると聞きました。たとえば、つい先ほどのことすら自覚しない認知症の人でも、曲に合わせて好きな歌を唄い出すと、間違えずに最後まで唄いきるというのです。言語障害の子供さんに対しても、歌の効用がすばらしいことをうかがっています。カラオケを健康法としてすすめる医師がいることも、納得できましょう。
そうすると、お寺は〈健康道場〉としても、大いに活用すべき場所であることがわかります。第一にいっしょにお経を唱えることで、右脳を活性化します。さらに太鼓や法螺貝、木魚や鐘といった法具がそれを増長させます。第二に仏像や仏画の慈顔に接することで、浄土のようなやすらぎを得ることができます。第三に高雅なお香の薫りで心を癒し、異次元世界へと誘導することができます。第四に法話を聞くことで教養を深め、生きる喜びを得ることができます。そして、いつも冗談にお話をするのですが、さらに温泉(!)があったら、もうこれ以上の理想はありません(笑)。
かつて、映画解説で活躍した水野晴郎さんに、「いやー、映画って・・・」という名台詞がありました。私も言いましょう。「いやー、お寺ってほんとにいいもんですね。またご一緒に楽しみましょう!」と。