〈ため息〉の秘伝

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健康

令和4年6月11日

 

若い頃に愛読した自己啓発の本に、「ため息をするほど幸運が逃げて行く」という意味のことが書かれてありました。私はその時、「なるほど!」と思い、ため息は極力やめようと心がけたものです。たしかに、気落ちしたようでありますし、まわりへの配慮としてもよいとはいえません。

ところがその後に、「ため息こそはいやしの妙薬である」というまったく逆の説を耳にしました。そうすると、これもまた本当のような気がしてきます(笑)。いったいどちらが正しいのか、とは思いましたが、何のことはありません。よく考えると、すぐに結論が出ました。

つまり、これは心の問題だということです。不平不満の心でため息をつけば、これは間違いなく幸運を逃がします。しかし、反対に疲れを癒し、ストレスを発散させるつもりでため息をつくと、これが実にいいのです。特にお風呂に入ったその瞬間こそは、絶好のチャンスです(笑)。一日の疲れをいっぺんにき出すような、そんな気分に浸れるものです。

ため息は一種の呼吸法なのだと心得ましょう。気持ちをリラックスさせるために、私たちの身心が自然にため息をさせるのです。疲れた時やストレスがたまった時、これを吐き出すために本能がため息を呼ぶ(吐く)のです。つまり、先に〝出す〟ためなのです。出さなければ、イイものを入れることができないからです。「出入口」とは言っても、「入出口」とは言いません。満員電車も、先に降りる人が出なければ、乗る人が入れません。「呼吸法」も同じです。先にう(吐く)から、えるのです。だから、ため息はイイものを入れるための呼吸法といえるのです。

そこで、お風呂でため息をする時の、とっておきの秘伝をお伝えしましょう。まず、自宅の狭いお風呂であっても、目を閉じてこれまでに入った最高の露天風呂をイメージしてください。山奥の澄んだ空気やせせらぎの音を想い浮かべてください。そして、思い切りため息をしながら、お腹をへこませます。次に静かに鼻から息を吸い、お腹(丹田たんでん)をふくらませ、これを四、五回くり返します。その時、清らかで強い〈気〉をいっしょに吸い込むとイメージすることが大切です。くれぐれも、その日のイヤなことを思い浮かべてはなりません。

たったこれだけですが、心身ともに壮快になります。毎日、新しい自分が誕生します。費用もかからず、出かける必要もありません。お風呂に入って、温まる時間を活用するだけです。私がストレスをためずに毎日、元気に働けるのはため息のおかげなのです。皆様も、ぜひ。

山路天酬密教私塾

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