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「百薬の長」か「百毒の長」か

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令和2年1月23日

 

お酒は体にいいのか悪いのかと問うなら、答えは決まっています。適量ならば血流をよくして体を温める「百薬の長」ともなり、適量を越せば肝臓障害をもたらし、さらに度を越して依存症ともなれば「百毒の長」でありましょう。

いろいろな学説を調べますと、適量を守れば免疫力を高め、動脈硬化・脳卒中・糖尿病・アルツハイマー等の発生率を下げ、がん抑制効果すらあるといいます。

122歳の世界最高長寿者として知られるフランス人のジャンヌ・カルマンさんは毎日、赤ワインとチョコレートを欠かしませんでした(ポリフェノール効果)。彼女は85歳でフェンシングを始め、100歳でも自転車に乗っていました。また、120歳で日本最高長寿者とされた徳之島の泉重千代いずみしげちよさんは毎日、黒糖焼酎こくとうしょうちゅうを欠かしませんでした。彼の120歳長寿には疑問説もありますが、大のプロレスファンで、アントニオ猪木の親善訪問を受けた時は子供のように喜びました。

また、長寿者が多いことで知られるコーカサス地方(グルジア共和国)で100歳以上の人は、朝食から自家製の赤ワインを飲んでいるそうです。適量を守れば、まさに「百薬の長」なのでありましょう。

ところが、適量を超えても不思議な長寿者がいることにも驚きます。

横山大観は近代日本画壇の最高峰ですが、毎日、日本酒二升・タバコ100本を飲みつつ、90歳まで作画をしました。梅原龍三郎はルノアールの弟子として知られる洋画家ですが、4歳から飲酒し、98歳まで活躍しました。また、彫刻家の平櫛田中ひらくしでんちゅうは「酒中有深味」の色紙を残し、100歳の折に30年分の彫刻材料を購入しました。130歳まで生きるつもりだったのでしょう。

こうして見ると、お酒もまんざらではありません。しかし、多くの人々の健康を損ね、社会的問題をおこしていることも事実です。お金や名誉と同様、善にもなれば悪ともなるのです。皆様も〝ほどほど〟にお楽しみください。

葛根湯医者

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令和2年1月14日

 

落語に江戸時代の「葛根湯かっこんとう医者」というお話があります。

患者が「風邪を引いた」といってやって来れば葛根湯、「下痢げりをした」と訴えれば葛根湯、湿疹しっしんが出たと騒げば葛根湯と、葛根湯以外は処方しない医者がいたのでしょう。ところが、ほとんどの病気が葛根湯だけで治っていったというのですから、この葛根湯医者もバカにはできません。

どうしてかと言いますと、葛根湯はくずの根・麻黄まおう生姜しょうが大棗たいそう芍薬しゃくやく甘草かんぞうなど、体を温める生薬で作られているからです。葛根湯を服用すると、体が温まり、汗が出て風邪はもちろん、頭痛や肩こりも消えるのです。また下痢や湿疹にも効を奏します。実は、あらゆる病気は〝冷え〟から生じるという説があるくらい、体温の低下は健康を損ねるとされるのです。

ところが、現代人は健康体温の36・5度を保っていない人が急増しています。中には36・0度にも満たない35・0度台や34・0度台の人までいます。34・0度といえば、水に溺れた人が回復するかどうかのギリギリの体温です。では、どうして体温が低いのかと申しますと運動不足やストレスもありますが、夏の冷え過ぎるクーラーやシャワーだけの入浴、体を冷やす南国の果物や冷たい飲み物、医薬品(科学物質)や食品添加物などが考えられます。シャワーは体を逆に冷やしてしまいますし、冷蔵庫で冷えたペットボトルの水やお茶を飲むのも日常的です。これではますます体を冷やしてしまいますから、健康体温を保つ工夫は、現代人の急速な課題といえましょう。

私はまず風邪を引くことはありませんので、葛根湯は服用しません。ただ生姜しょうがばかりはすりおろして常備しています。それを味噌汁・豆腐・煮物・いため物・飲み物など、何にでも加えています。まさに「生姜さまさま」で、生姜がなければ「ショウガナイ!」のです(笑)。

何度もお話しますが、僧侶は声を出すのが仕事ですから、風邪を引いてのどが荒れてはどうにもなりません。皆様もぜひお試しになってください。

雨ニモマケズ

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令和元年12月27日

 

宮沢賢治は熱烈な『法華経』の信徒でした。「雨ニモマケズ」のあの詩は、その信念をつづったものなのでしょう。ただ、文中の「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」がとても気になります。玄米四合ともなれば茶碗八杯分で、明らかな食べ過ぎです。

私はほとんど外食をしないので、自分で食事を作っています。最近では玄米や雑穀米の食事も増えました。だから、そのおいしさも栄養もよく知っています。しかし一合でも余るほどで、とても四合は食べ切れません。四合を食べるとなれば、よほどの大食漢です。たぶん、これが37歳で亡くなった理由です。

逆に、「味噌ト少シノ野菜」より、「多メノ野菜」の方がいいのではないかとさえ思っています。野菜の効用については、まず悪く言う人はいません。特に、朝食に野菜サラダや野菜ジュースをすすめる医者がかなりいます。あるいは、今の栄養士がこれを見れば、「一日ニ玄米一合ト味噌ト、多メノ野菜ト少シノ小魚ヲトリ」ぐらいをすすめるかも知れません。

昔の武将は玄米のにぎり飯ばかりで、重いよろいや刀剣をまとって戦場をめぐりました。飛脚ひきゃく駕籠かごかきもそうでした。現代人はこれほどに栄養をとり、世界中の料理を楽しんでいるのに、どうしてこうも疲れるのでしょうか。昔の人にストレスがなかったはずはありません。私たちは、改めて食事のあり方を考える必要がありそうです。。

戦後に日本人の寿命が延びたのは、肉食のおかげでしょう。栄養もカロリーも豊かで長命になりました。しかし、病気は増えました。いくら寿命が延びても、健康でなければ意味がありません。特に高齢者は本来の和食を中心に、時おり肉食をするぐらいがいいように思うのですが、いかがでしょう。

私の風邪対策

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令和元年12月17日

 

僧侶は声を出すのが仕事ですので、風邪かぜを引くと大変です。そこで、風邪対策を工夫するわけですが、私が実践している方法をご紹介しましょう。

手洗い・うがい・マスクを心がけるのは当然ですが、私は緑茶(日本茶)でうがいをします。ただしペットボトル茶ではなく、急須きゅうすでたてた緑茶を用います。カテキンがよくのどを消毒してくれます。普段からうがい薬を用いると、喉の抵抗力が弱まりますので、おすすめできません。緑茶にはビタミンCが豊富ですが、普段から野菜や菓物でビタミンCを補給することも大切です。

それから、冬が近づくと液体プロポリスを購入して緑茶に一滴いってき注ぎ、うがいをした後にゆっくりと飲み込んで喉を通過させています。喉がピリ(!)としますが、「天然抗生剤」と呼ばれるだけに、強烈な殺菌力があります。ただ、決しておいしいものではありません。どうしても苦手な方は、ハチミツを加えるとよいでしょう。ハチミツもまた風邪に効用があるからです。注意することはカプセル状ではなく、液体状を用いて喉を通過させることと、紙コップを用いることです。ガラスのコップや湯飲み茶碗にプロポリスがこびり着くと、簡単には落ちません。ちなみに、私はインフルエンザ予防接種は投与していません。

もう一つ大事なことは、やはり腸内環境でしょう。ウイルスへの免疫力は腸から生まれるからです。普段から発酵食品や食物繊維を食し、「腸内フローラ」を目ざすことです。ただし、私は乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントを飲んだからといって、それで善玉菌を簡単に増やせるとは思えません。また食物繊維のサプリメントによって、かえって便秘が進んでしまった人も知っています。やはり、自然な食事から腸内環境を整えることが大切です。

以上のことを、京都の仁和寺にんなじ引導作法いんどうさほう(葬儀作法)の伝授をした折にお話しましたら、大変に喜ばれました。僧侶は一人で葬儀導師をつとめることが多いからです。皆様も参考にしてください。

「褐色の恋人」は乳製品か?

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令和元年12月13日

 

一昨日、お釈迦さまに乳粥にゅうがゆを供養したスジャーターという村娘のお話をしました。

ところで、スジャ-ターの名が知られるようになったのは、ご存知の「褐色かっしょくの恋人・スジャーター」というコーヒーフレッシュからです。そして、皆様のほとんどの方は、コーヒーフレッシュは乳製品だと思っていらっしゃるはずです。しかし、考えてみてください。本当の乳製品なら冷蔵庫で保管しなければなりません。でも、どうでしょうか。コーヒーショップでもファミリーレストランでも、また高級ホテルですら常温で保管され、しかも使い放題です。いくつ持って行こうが、文句ひとつ言われません。

実は、コーヒーフレッシュは乳製品ではないのです。植物油に水を混ぜ、乳化剤等の添加物で白く濁らせたものに過ぎません。しかも、驚くほどの安い材料で仕上がり、「飲むプラスチック」などと言う人もいます。たから、冷蔵庫に保管する必要もなく、いくつ持って行っても文句も言われないのです。

昔の喫茶店では、冷蔵庫から出したエバミルクと共にコーヒーが運ばれて来ました。そして、お客さんが使用すると持ち帰って、すぐ冷蔵庫で保管したものでした。だから、コーヒーにうるさい方なら、今でもエバミルクやクリームを購入しているはずです。

この事実を知った皆様は、コーヒーにはせめて牛乳を加えるかブラックで飲んでください。特に、一日に何杯もコーヒーを飲む方はなおさらのことです。自分の大事な体をプラスチックにしてはなりません。また、お友達にも教えてください。困った時代だとは思いますが、ね。

トイレの中では

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令和元年11月25日

 

よく、トイレの中に本を置いている方がいますが、せっかくの時間を有効に活用しようということでしょうか。トイレ内に、立派な本棚まで備えつけている方もいらっしゃるようです。しかし、トイレの中で、本を読んでいるほど時間がかかるものでしょうか。

私は本をよく読むほうですが、トイレの中には置きません。理由は簡単で、用を足す時間がきわめて短いからです。おしっこでもお通じでも、ほぼ一分程度です。とてもとても、本など読んでいる時間はありません。

そもそも、トイレに時間がかかるということは、おしっこなら膀胱ぼうこう前立腺ぜんりつせん(男性)に問題があるからです。またお通じなら、腸内環境に問題があるからです。私が気になるのは、駅の大用トイレの長い行列です。女性トイレのことはわかりませんが、男性が大用トイレに入るや、なかなか出て来ません。便秘なのか下痢げりなのか、現代人の腸内環境がいかに悪いかの証拠です。

昨日の大掃除おおそうじのお話と同じですが、健康はまずよい排泄はいせつをして、それからよいものを取り入れることが肝要です。よい排泄もできずに、どんなに栄養のある食事をしても、サプリメントを飲んでも、大した結果は得られません。

お寺の生活はまず掃除をして汚れやごみを取り除き、それから勤行ごんぎょうをして仏さまの功徳をいただくわけです。これは心身ともに大切なことで、この手順を忘れぬよう自戒しています。そして、毎日のこのり返しが大事だということもきもめいじています。

納豆バンザイ!

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令和元年11月11日

 

私は栃木県の農村で育ったせいか、食卓に納豆なっとうを欠かすことはありません。年齢のわりには若く見られますが、その秘密は毎日、納豆を食べているからです。

健康によいといわれる食品の中で、どれか一つを選ぶとすれば、「それは納豆です」と多くの医師や管理栄養士が語っています。同じ大豆発酵の食品でも、味噌の塩分を気にする方は多いはずです。完璧な栄養源といわれる卵も、コレステロールに賛否があります。DHAやEPAを多く含んだ青魚も、海の汚染物質を心配する方がいます。ヨーグルトの乳酸菌が腸内環境を整えるといっても、体質に合わない方がいます。トマトのリコピンには抜群ばつぐんの抗酸化力がありますが、体を冷やす欠点があります。つまり、世界中の食品を見渡しても、ただ一つ文句をいわれないのが納豆なのです。

納豆には若返りの成分であるポリアミンが多く、免疫細胞がよみがえり、動脈硬化を予防し、長寿をもたらします。そのほか、ビタミンB₂が多いにもかかわらず、脂肪やコレステロールを気にする必要がありません。また、ねばり成分のナットウキナーゼは血栓けっせんさえ溶かします。血栓は就寝中に発生しやすいので、納豆は夕食に食べるとよいでしょう。

かつて、関西の方はほとんど納豆を食べませんでした。私が二十代で京都の醍醐寺だいごじに入った頃、食事作法じきじさほうで『般若心経はんにゃしんぎょう』を唱えていると、関東僧侶のもとに納豆が回って来たものです。作法が終ると、私の前には四つも五つも納豆が並んでいました(笑)。でも今は、関西でも若い方は納豆を食べますし、ホテルのバイキングにも納豆が置かれています。

皆様、ぜひ納豆を見直してください。あらゆる食品の中で、最も理想的な逸品いっぴんが納豆なのです。「納豆バンザイ!」です。

世界三大美人

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令和元年11月6日

 

一昨日は現代女性のダイエット志向に、苦言をていしました。その続きをお話します。

世界三大美人とされる、クレオパトラ・楊貴妃ようきひ小野小町おののこまちを比較してみましょう。もちろん、古い歴史上の方ばかりですから、伝承される画像を絶対的に信用することはできません。しかし、まったくの根拠もなく伝えられたとも思えません。

クレオパトラは多くはかなり細身で描かれています。ナイルのどろで体を洗って、ダイエット効果があったのでしょうか。しかし、伝えられる楊貴妃と小野小町は、どうやら小太りです。私が若い頃に師事した書道の先生は、中国の歴史にかなり精通していましたが、「楊貴妃は小太りな女性だった」と、よく語っていました。

また、私は小野小町の歌仙かせん(肖像画とんだ歌を書いた色紙)を三点ほど所持していますが、みな下ぶくれで小太りです。昔の男性が好んだ理想の女性は、少なくとも現代とはかなり違っていたように思います。現代女性は極端にせたモデルさんあたりを、理想の体形としているような気がします。

ついでにお話しますが、この世で最も美しいとされるミロのビーナスも、やや太めです。また、ビーナスによく似ているとされて話題になったイスクラ・ローレンスさんというモデルも、一般モデルの概念を破って、やや太めです。ウエストの幅を1とすると、肩幅は1・6、バストトップの距離が0・8、ヒップは1・4だそうで、女性下着メーカーはこぞってこの比率を研究しました。

自分は太っているとお思いの女性は、多いに自信をもってください。太めで健康な女性を好む男性は必ずいます。またビーナスも、楊貴妃も小野小町も小太りであったと覚えておきましょう。今日は仏教とは何の関係もなく終ります(笑)。

何でそんなに痩せたいんですか!

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令和元年11月4日

 

綾小路きみまろさんが〈爆笑ライブ〉で言っています。「何でそんなにせたいんですか!」と、ね。

現代人の、特に女性のダイエット志向はあまりにも異常です。男性の私が見ても美しいスタイルの女性が、みな「痩せたい!」と言います。結婚している女性なら、なおさらです。妊娠中に無理なダイエットをしたために、出産した赤ちゃんの体重が足りない傾向にあります。2500g以下が多いようでは、困ったものです。

朝食をぬき、昼食はサラダだけと続ければ、ストレスのたまった夕食でドカ食いするのは当りまえです。体は何とかしてカロリーを維持しますから、太るのも、また当りまえです。それに、現代はカロリーばかりが多く、栄養失調をもたらす食事があまりに多過ぎます。

糖質制限にも問題があります。糖尿病患者さんのために考案された食事が、ダイエットに適応するはずがありません。また、縄文時代の狩猟生活で、肉や魚ばかりを食べていたとも思えません。特に日本人は、ご飯を食べてこそおいしいと思い、健康を維持してきたはずです。

私は以前、糖質制限をしたらどうなるかを、自分の体で実験したことがあります。たしかに脂肪が落ちて痩せました。同時に、筋肉まで落ちて力が入りませんでした。それは、ご祈祷で太鼓を打った時に感じました。いつものような、迫力ある轟音ごうおんが出ないのです。自分にはご飯が必要なのだと、その時に気づきました。糖質制限をしていても、ほどほどのご飯は食べるべきです。

太っていても、魅力ある女性はたくさんいます。健康で生き生きと生活できる体形を維持してください。そして、丈夫な赤ちゃんが産める食事を心がけてください。

標準体重で健康度がわかるのか

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令和元年11月3日

 

私は標準体重を信用しません。

なぜなら、きんトレをしたスポーツ選手などは、確実に肥満になってしまうからです。特に猛稽古もうげいことちゃんこ料理で作り上げたお相撲すもうさんの筋肉まで、すべて肥満になってしまいます。また標準体重で肥満の人は、糖尿病や動脈硬化が発病するという説も、あまりに飛躍しています。人にはそれぞれの体質があるのですから、せている人もいれば太っている人もいるのは当然のことです。

一般に聞かされる【身長-100×0・9】、あるいはBMIの【体重×身長の2乗】では、内臓脂肪や皮下脂肪は検出できません。また脳の萎縮度いしゅくど骨密度こつみつど、また血管の弾力性も検出できません。

アメリカの医師・オスラ―博士の「人は血管とともに老いる」は名言中の名言です。健康度は内臓脂肪や皮下脂肪を含め、脳年齢・骨年齢・血管年齢等を総合的に判断すべきだと思います。健康診断での血液検査や内臓検査に加えて、こうした健康度が気軽に測定できることを望んでいます。

ところで、仏像や仏画を見ればわかりますが、ほとんどの仏さまが〝肥満〟です。インドの神さまも同じです。私の従兄弟いとこに仏像をっているいわゆる仏師ぶっしがいますが、彼はよく「仏さまは肉体労働者だ」と語っていました。

つまり、それほどに筋肉が発達しているということなのでしょう。これはせることばかりが力説される現代とは違った、何かがあるはずです。ダイエット流行の真っただ中にあっても、考えるべきことです。

山路天酬密教私塾

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