私の風邪対策
令和元年12月17日
僧侶は声を出すのが仕事ですので、風邪を引くと大変です。そこで、風邪対策を工夫するわけですが、私が実践している方法をご紹介しましょう。
手洗い・うがい・マスクを心がけるのは当然ですが、私は緑茶(日本茶)でうがいをします。ただしペットボトル茶ではなく、急須でたてた緑茶を用います。カテキンがよく喉を消毒してくれます。普段からうがい薬を用いると、喉の抵抗力が弱まりますので、おすすめできません。緑茶にはビタミンCが豊富ですが、普段から野菜や菓物でビタミンCを補給することも大切です。
それから、冬が近づくと液体プロポリスを購入して緑茶に一滴注ぎ、うがいをした後にゆっくりと飲み込んで喉を通過させています。喉がピリ(!)としますが、「天然抗生剤」と呼ばれるだけに、強烈な殺菌力があります。ただ、決しておいしいものではありません。どうしても苦手な方は、ハチミツを加えるとよいでしょう。ハチミツもまた風邪に効用があるからです。注意することはカプセル状ではなく、液体状を用いて喉を通過させることと、紙コップを用いることです。ガラスのコップや湯飲み茶碗にプロポリスがこびり着くと、簡単には落ちません。ちなみに、私はインフルエンザ予防接種は投与していません。
もう一つ大事なことは、やはり腸内環境でしょう。ウイルスへの免疫力は腸から生まれるからです。普段から発酵食品や食物繊維を食し、「腸内フローラ」を目ざすことです。ただし、私は乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントを飲んだからといって、それで善玉菌を簡単に増やせるとは思えません。また食物繊維のサプリメントによって、かえって便秘が進んでしまった人も知っています。やはり、自然な食事から腸内環境を整えることが大切です。
以上のことを、京都の仁和寺で引導作法(葬儀作法)の伝授をした折にお話しましたら、大変に喜ばれました。僧侶は一人で葬儀導師を勤めることが多いからです。皆様も参考にしてください。
「褐色の恋人」は乳製品か?
令和元年12月13日
一昨日、お釈迦さまに乳粥を供養したスジャーターという村娘のお話をしました。
ところで、スジャ-ターの名が知られるようになったのは、ご存知の「褐色の恋人・スジャーター」というコーヒーフレッシュからです。そして、皆様のほとんどの方は、コーヒーフレッシュは乳製品だと思っていらっしゃるはずです。しかし、考えてみてください。本当の乳製品なら冷蔵庫で保管しなければなりません。でも、どうでしょうか。コーヒーショップでもファミリーレストランでも、また高級ホテルですら常温で保管され、しかも使い放題です。いくつ持って行こうが、文句ひとつ言われません。
実は、コーヒーフレッシュは乳製品ではないのです。植物油に水を混ぜ、乳化剤等の添加物で白く濁らせたものに過ぎません。しかも、驚くほどの安い材料で仕上がり、「飲むプラスチック」などと言う人もいます。たから、冷蔵庫に保管する必要もなく、いくつ持って行っても文句も言われないのです。
昔の喫茶店では、冷蔵庫から出したエバミルクと共にコーヒーが運ばれて来ました。そして、お客さんが使用すると持ち帰って、すぐ冷蔵庫で保管したものでした。だから、コーヒーにうるさい方なら、今でもエバミルクやクリームを購入しているはずです。
この事実を知った皆様は、コーヒーにはせめて牛乳を加えるかブラックで飲んでください。特に、一日に何杯もコーヒーを飲む方はなおさらのことです。自分の大事な体をプラスチックにしてはなりません。また、お友達にも教えてください。困った時代だとは思いますが、ね。
トイレの中では
令和元年11月25日
よく、トイレの中に本を置いている方がいますが、せっかくの時間を有効に活用しようということでしょうか。トイレ内に、立派な本棚まで備えつけている方もいらっしゃるようです。しかし、トイレの中で、本を読んでいるほど時間がかかるものでしょうか。
私は本をよく読むほうですが、トイレの中には置きません。理由は簡単で、用を足す時間がきわめて短いからです。おしっこでもお通じでも、ほぼ一分程度です。とてもとても、本など読んでいる時間はありません。
そもそも、トイレに時間がかかるということは、おしっこなら膀胱や前立腺(男性)に問題があるからです。またお通じなら、腸内環境に問題があるからです。私が気になるのは、駅の大用トイレの長い行列です。女性トイレのことはわかりませんが、男性が大用トイレに入るや、なかなか出て来ません。便秘なのか下痢なのか、現代人の腸内環境がいかに悪いかの証拠です。
昨日の大掃除のお話と同じですが、健康はまずよい排泄をして、それからよいものを取り入れることが肝要です。よい排泄もできずに、どんなに栄養のある食事をしても、サプリメントを飲んでも、大した結果は得られません。
お寺の生活はまず掃除をして汚れやごみを取り除き、それから勤行をして仏さまの功徳をいただくわけです。これは心身ともに大切なことで、この手順を忘れぬよう自戒しています。そして、毎日のこの繰り返しが大事だということも肝に銘じています。
納豆バンザイ!
令和元年11月11日
私は栃木県の農村で育ったせいか、食卓に納豆を欠かすことはありません。年齢のわりには若く見られますが、その秘密は毎日、納豆を食べているからです。
健康によいといわれる食品の中で、どれか一つを選ぶとすれば、「それは納豆です」と多くの医師や管理栄養士が語っています。同じ大豆発酵の食品でも、味噌の塩分を気にする方は多いはずです。完璧な栄養源といわれる卵も、コレステロールに賛否があります。DHAやEPAを多く含んだ青魚も、海の汚染物質を心配する方がいます。ヨーグルトの乳酸菌が腸内環境を整えるといっても、体質に合わない方がいます。トマトのリコピンには抜群の抗酸化力がありますが、体を冷やす欠点があります。つまり、世界中の食品を見渡しても、ただ一つ文句をいわれないのが納豆なのです。
納豆には若返りの成分であるポリアミンが多く、免疫細胞がよみがえり、動脈硬化を予防し、長寿をもたらします。そのほか、ビタミンB₂が多いにもかかわらず、脂肪やコレステロールを気にする必要がありません。また、粘り成分のナットウキナーゼは血栓さえ溶かします。血栓は就寝中に発生しやすいので、納豆は夕食に食べるとよいでしょう。
かつて、関西の方はほとんど納豆を食べませんでした。私が二十代で京都の醍醐寺に入った頃、食事作法で『般若心経』を唱えていると、関東僧侶のもとに納豆が回って来たものです。作法が終ると、私の前には四つも五つも納豆が並んでいました(笑)。でも今は、関西でも若い方は納豆を食べますし、ホテルのバイキングにも納豆が置かれています。
皆様、ぜひ納豆を見直してください。あらゆる食品の中で、最も理想的な逸品が納豆なのです。「納豆バンザイ!」です。
世界三大美人
令和元年11月6日
一昨日は現代女性のダイエット志向に、苦言を呈しました。その続きをお話します。
世界三大美人とされる、クレオパトラ・楊貴妃・小野小町を比較してみましょう。もちろん、古い歴史上の方ばかりですから、伝承される画像を絶対的に信用することはできません。しかし、まったくの根拠もなく伝えられたとも思えません。
クレオパトラは多くはかなり細身で描かれています。ナイルの泥で体を洗って、ダイエット効果があったのでしょうか。しかし、伝えられる楊貴妃と小野小町は、どうやら小太りです。私が若い頃に師事した書道の先生は、中国の歴史にかなり精通していましたが、「楊貴妃は小太りな女性だった」と、よく語っていました。
また、私は小野小町の歌仙(肖像画と詠んだ歌を書いた色紙)を三点ほど所持していますが、みな下ぶくれで小太りです。昔の男性が好んだ理想の女性は、少なくとも現代とはかなり違っていたように思います。現代女性は極端に痩せたモデルさんあたりを、理想の体形としているような気がします。
ついでにお話しますが、この世で最も美しいとされるミロのビーナスも、やや太めです。また、ビーナスによく似ているとされて話題になったイスクラ・ローレンスさんというモデルも、一般モデルの概念を破って、やや太めです。ウエストの幅を1とすると、肩幅は1・6、バストトップの距離が0・8、ヒップは1・4だそうで、女性下着メーカーはこぞってこの比率を研究しました。
自分は太っているとお思いの女性は、多いに自信をもってください。太めで健康な女性を好む男性は必ずいます。またビーナスも、楊貴妃も小野小町も小太りであったと覚えておきましょう。今日は仏教とは何の関係もなく終ります(笑)。
何でそんなに痩せたいんですか!
令和元年11月4日
綾小路きみまろさんが〈爆笑ライブ〉で言っています。「何でそんなに痩せたいんですか!」と、ね。
現代人の、特に女性のダイエット志向はあまりにも異常です。男性の私が見ても美しいスタイルの女性が、みな「痩せたい!」と言います。結婚している女性なら、なおさらです。妊娠中に無理なダイエットをしたために、出産した赤ちゃんの体重が足りない傾向にあります。2500g以下が多いようでは、困ったものです。
朝食をぬき、昼食はサラダだけと続ければ、ストレスのたまった夕食でドカ食いするのは当りまえです。体は何とかしてカロリーを維持しますから、太るのも、また当りまえです。それに、現代はカロリーばかりが多く、栄養失調をもたらす食事があまりに多過ぎます。
糖質制限にも問題があります。糖尿病患者さんのために考案された食事が、ダイエットに適応するはずがありません。また、縄文時代の狩猟生活で、肉や魚ばかりを食べていたとも思えません。特に日本人は、ご飯を食べてこそおいしいと思い、健康を維持してきたはずです。
私は以前、糖質制限をしたらどうなるかを、自分の体で実験したことがあります。たしかに脂肪が落ちて痩せました。同時に、筋肉まで落ちて力が入りませんでした。それは、ご祈祷で太鼓を打った時に感じました。いつものような、迫力ある轟音が出ないのです。自分にはご飯が必要なのだと、その時に気づきました。糖質制限をしていても、ほどほどのご飯は食べるべきです。
太っていても、魅力ある女性はたくさんいます。健康で生き生きと生活できる体形を維持してください。そして、丈夫な赤ちゃんが産める食事を心がけてください。
標準体重で健康度がわかるのか
令和元年11月3日
私は標準体重を信用しません。
なぜなら、筋トレをしたスポーツ選手などは、確実に肥満になってしまうからです。特に猛稽古とちゃんこ料理で作り上げたお相撲さんの筋肉まで、すべて肥満になってしまいます。また標準体重で肥満の人は、糖尿病や動脈硬化が発病するという説も、あまりに飛躍しています。人にはそれぞれの体質があるのですから、痩せている人もいれば太っている人もいるのは当然のことです。
一般に聞かされる【身長-100×0・9】、あるいはBMIの【体重×身長の2乗】では、内臓脂肪や皮下脂肪は検出できません。また脳の萎縮度や骨密度、また血管の弾力性も検出できません。
アメリカの医師・オスラ―博士の「人は血管とともに老いる」は名言中の名言です。健康度は内臓脂肪や皮下脂肪を含め、脳年齢・骨年齢・血管年齢等を総合的に判断すべきだと思います。健康診断での血液検査や内臓検査に加えて、こうした健康度が気軽に測定できることを望んでいます。
ところで、仏像や仏画を見ればわかりますが、ほとんどの仏さまが〝肥満〟です。インドの神さまも同じです。私の従兄弟に仏像を彫っているいわゆる仏師がいますが、彼はよく「仏さまは肉体労働者だ」と語っていました。
つまり、それほどに筋肉が発達しているということなのでしょう。これは痩せることばかりが力説される現代とは違った、何かがあるはずです。ダイエット流行の真っただ中にあっても、考えるべきことです。
笑顔の効能
令和元年9月21日
昨日、日本女子バレーボール選手の笑顔についてお話をしました。その時、パソコンを打ちながら、同時に浮かんで来たことがありました。
それは、私がいろいろなご相談を寄せられた時、何を基準にその方の見通しを立てるかというと、その方にどれだけの笑顔があるかということなのです。バレーボール選手のことを考えながら、まったく別のことを考えている自分を、妙な気分で見ていたものでした。
たとえば初対面で出会った時でも、「この人は大丈夫!」と思えるのは、私の言うことによくうなずき、笑顔で向かい合える方なのです。逆に「この人は困ったな」と思うのは、何を言ってもうなずくこともなく、まったく笑顔のない人なのです。もっとも、このような方はご縁が続くこともなく、たいていは一度きりで終わります。
だから、笑顔を絶やさぬ方に出会うと、私もまたホッとします。「笑う門には福来る」や「笑いは百薬の長」とは、経験的な智恵で伝えられたのでしょう。しかし、最近では科学的な研究が進み、笑う前と後でのデータ分析が進みました。
一つの例として、がん細胞を破壊するとされるNK細胞と笑いとの関係があります。笑う前と後の血液を分析すると、笑った後では、明らかにNK細胞が増えているのです。また、関節リュウマチ患者の痛みと笑いの関係においても、大いに笑った後では、確実にリウマチ指標の数値が減少しています。
うれしいことではありませんか。笑顔は気力を呼び戻し、病を癒し、開運へと導くのです。しかも、時間もかからず、お金もいらず、場所も問わずに人生を変えるのです。私たちも笑顔の効能を忘れず、声を出して大いに笑いましょう。
オシッコとお通じ
令和元年8月28日
今や。サプリメントはあふれるばかりです。私はあまりテレビを見ませんが、チャンネルを回せばショップ番組のオンパレードです。皆様も、ついつい買ってしまうのではないでしょうか。「番組終了30分以内にお申込の方にかぎり・・・」と言われれば、多くの方が電話をするはずです。
サプリメントに関しては、賛成と反対が極端に分かれます。「栄養はバランスのとれた食事から摂るべきで、成分ばかりを抽出しても本当の栄養にはならない」と言うのが、反対派の意見です。「栄養のバランスなど、忙しい毎日の生活で摂れるわけがない。特に外食の多い人などは、サプリメントを上手に利用した方がよい」と言うのが賛成派の意見です。私はどちらとも言いかねますが、これだけサプリメントがあふれれば、多くの方が利用するのは当然でしょう。
ところで皆様は、いいものを口にしていれば健康になれる、と、そう思うでしょうか。もちろん、それも大切ではありますが、実はもっと大切なことがあるのです。それは、いいものを口にする前に、悪いものを出すことなのです。つまり、しっかりとしたオシッコとお通じが大切だということです。
つまり、人間の体はもちろん、環境も生活も、仕事も趣味も、まずは悪いものを排除して、次にいいものを取り入れることが大切なのです。何ごともこの手順を間違えると、決してうまくは行きません。真言密教で本尊を迎えるにも、まずは悪いものを排除して、それから清らかな座所を設けるのが修法の手順です。
そこで、しっかりしたオシッコをするためには、腎臓がその要です。腎臓が悪くてはしっかりしたオシッコを作れないばかりか、肝臓も悪くなり、疲れやすくなります。〈肝心要〉は〈肝腎要〉と書く方が正しいのです。健康診断では、肝臓と共に腎臓に配慮していただきたいと思います。
お通じはご存知のとおり、腸内フローラで決まります。善玉菌を増やして、腸内をお花畑のようなフローラ環境を作ってください。私は「調子がいいとは、腸の調子がいいことです」とお話をしています。スムースなお通じができるよう、いろいろな工夫をしてください。
悪いものを出すことの大切さをお話しましたが、腎臓の強化や腸内フローラについては、とっておきの方法があります。私のもとにお越しくだされば、ソッとお教えします。はばかりながらお話しますが、私はお通じでさえ一分以内でスルスルと出ます。駅のトイレであんなに行列ができるのは、現代人の腸内環境がいかに悪いかの証拠です。
皆様、悪いものを出して、それからいいものを口にしてください。これ、健康への極意です。
プロはきびしい
令和元年8月3日
私はかつて、荒行によって声帯を壊しましたが、手術のおかげでかなり回復しました。しかし、長時間の読経や講演をすると、声が枯れやすいことは否めません。だから、喉のことは常に気づかっています。
まず、冷たいものを飲むといけません。タンがからんだり、声がれがおこりやすくなります。もちろん風邪に対しても、かなり注意しています。緑茶や紅茶でうがいをしたり、ショウガを買い込んでは味噌汁や豆腐に加えています。それから、液体プロポリスを身近に置き、紙コップで薄めてから喉を通過させています。刺激があり、決しておいしいものではありませんが、炎症をやわらげてくれるようには思います。ただし、うがい薬を常用してはいません。常用すると抵抗力がなくなり、本当に風邪を引いた時には役立たないように聞いているからです。
私の〝努力〟はこんな程度ですが、ある日の夕刊で歌手・由紀さおりさんの私生活を読み、大変なショックを受けたことがありました。
彼女には3人の声帯医師がいるそうで、まず毎朝、自宅近くの大学病院で薬を塗っているそうです。そして、3ヶ月に一度は別の医師に異常がないかの精密検査を受け、過労が続くとさらに別の医師のもとに駆けつけるというのです。そして、喉を冷やす飲み物は避け、就寝の折にはガーゼをくるんで喉を温めるのだというのです。
彼女は今や世界中のファンを魅了し、休む間もなく国内ファンをも熱中させています。満場の客席から送られる拍手の裏には、こんな努力があったのかと思い知らされたものでした。僧侶は声を出すのが仕事なのに、自分はいったい何をしているのだろうかと、慙愧に堪えませんでした。プロは何ごとによらず、きびしいものです。