コンプラ瓶

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挿花

令和元年7月9日

 

セリの花をいただきましたら意外に美しいので、さっそく挿してみました(写真)。初めてお目にかかりましたが、野菜にもすてきな花があるものです。この季節ではカボチャやキュウリの花なども、いいものですよ。

今日のお話はもう一つ、花器にした白いびんが何であるか、皆様おわかりになりますでしょうか?

これは江戸時代に長崎の金富羅こんぷら商社が、出島で東インド会社と取り引きをした「コンプラ瓶」というものです。正面に「JAPANSH  SAKI」とあり、「ヤパンセ サキ」と読みます。つまり「日本産の酒」、九州の焼酎を入れて、オランダやポルトガルに輸出したのです。かのシーボルトも、いくつかを本国に持ち帰りました。おそらく、日本人が書いた当初のアルファベットということになりましょう。粗雑な磁器で、焼酎のシミまで残っていますが、なかなかに味があります。

それともう一つ、晩年のトルストイがどうしたことかこの瓶を愛玩あいがんし、一輪挿しに使っていました。たしかに、書斎の片隅にこの瓶が映っている写真を見たような気がします。

文豪もこのやわらかな白い発色を好んでいたのでしょう。そして、歴史的な名作を生み出す、その瞑想を支えたのです。私の手元にあるのも、不思議なご縁です。

山路天酬密教私塾

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