ひらめきが起きる時

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思考

令和元年8月7日

 

突然に、いい方法やアイデアや浮かぶ時があります。いわゆるひらめきが起きる時です。

よく言い伝えられるお話としては、散歩の途中、お風呂の中、うたた寝の後などでしょうか。共通していることは、気持ちがリラックスしてということです。では、リラックスさえしていれば、いつでもひらめきが起きるのかといえば、そうはいきません。ひらめきが起きるには、また別の条件があると思うのです。

だいぶ以前のことですが、ある日の朝刊で、GYXYZ(ジザイズ)という会社の社長・横井恵子さんの記事を読みました。彼女はネーミングという新分野を開拓したユニークな経営者です。つまり、会社やブランド品の名前をつけることを仕事にしています。彼女が手がけた代表作は〈NTTドコモ〉〈au〉〈りそな銀行〉〈あいおい損保〉〈日興コーディアル証券〉などですが、その手腕は驚くばかりです。

「どんな時に名前がひらめきますか?」という記者の問いに対して、彼女は「私にはひらめきなんてありません。考えて考えて、しつこく、またしつこく作り上げていくのが私の流儀です」と答えています。私はこの答えが忘れられず、ひらめきに対するバイブルとさえ思っています。

私たちはひらめきというと、ただ、黙っていても降って湧いて来るようなイメージを持ちがちですが、そうではないのです。考えに考えを重ね、さらに時間をかけてそれを熟成させ、時には忘れ、また考えを重ねて尽き果てた時に、ひらめきが起きるのです。つまり、努力が尽き果てねば、人事を尽くし切らねば、ひらめきなど起きようはずがないのです。

「人事を尽くして」などと簡単に言いますが、本当に人事を尽くし切れば、待たずしても天命はやって来るのです。そのためには、努力に加えて〝運〟も必要です。そして、その運もまた努力が引き寄せるのです。待っているだけでは、ひらめきなど起きようはずがありません。

横井さんのお話に出会えたのは、私の生涯の宝です。今でもその切り抜きを、大切に保管しています。

山路天酬密教私塾

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