令和2年5月2日
二十代の始め頃、ある先輩から世の中には四種類の人間がいると教えられました。長く記憶から遠のいていましたが、急に思い出したのも何かの縁なのでしょう。
その四種類の人間とは、「金持ちの金持ち」「金持ちの貧乏人」「貧乏人の金持ち」「貧乏人の貧乏人」とのことでした。そして、その先輩の説明によると、この四種類の人間とは次のような意味でした。
まず「金持ちの金持ち」とは、お金にも恵まれ、加えて徳を備えた理想的な人です。こういう人は世の中が求めるものを提供し、世の中に尽くすことを喜べる人です。だから、お金にも恵まれますが、多くの人々から感謝され、尊敬されています。自分の財産を世の中のために進んで投げ出しますから、世の中から喜ばれる分、その財産がまた戻って来ます。つまり、望まずとも財産がますます増えていく人です。
次の「金持ちの貧乏人」とは、まずお金のことしか頭にない人です。いかにしたら儲かるか、それだけを考えて生きています。だから、人が損をすれば自分が儲かると、そういう発想しかできません。嫌われようが恨まれようが、そんなことは気にしません。心を許せる友人もいませんし、世の中から喜ばれることもありません。一時的に大金を手にすることはあっても、いずれは必ず一文無しになる人です。
次の「貧乏人の金持ち」とは、たぶん世の中の大半の人が自分のことだと思う種類のはずです。つまり、お金はないけれども体は健康だし、まじめに働いているし、家庭もまずまずだし、平凡ではあっても幸せな人生だと思っている人です。友人もいるし、趣味もあって、楽しい時間も過ごしています。そして、できれば何か世の中の役に立つことをしたいと願ってもいます。つまり、心の豊かさを財産とする人です。
最後の「貧乏人の貧乏人」とは、文字どおりお金もなく、心も貧しい人です。借金も多く、家賃も滞納し、いつも催促や取り立てばかり受けています。それでいて平気で人をだまし、うそをつき、時には脅し、詐欺もはたらきます。警察のやっかいになったことも、二度三度ではありません。誰も信用しませんが、誰からも信用されません。つまり、世の中から必要とされない、もっとも不幸な人です。
なかなか説得力のある説として、当時の私にはかなりのインパクトがありました。その後の人生の中で、何度も「なるほど」と納得したものでした。皆様はどう思いますか。どの種類に入りますか。きっと「〇〇〇〇〇〇〇」でしょうね。