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荒神様はどんな神様?

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令和6年7月25日

 

あさか大師には、御守と共に〈火伏札ひぶせふだ〉が陳列されています。いわゆる「台所の神様」「荒神こうじん様」の御札で、火難除かなんよけのために皆様がお求めになります。お寺でも台所のガス台近くにお祀りしています(写真)。

荒神さまは「三宝荒神さんぼうこうじん」と呼ばれますが、どんな神様なのか、実ははっきりしていません。日本古来の神様と真言密教の明王様が習合しゅうごうした尊格だとしかいいようがありません。お像や御影みえい(絵)を見ると、怖い忿怒ふんぬの形相をしています。一説にはお不動様の化身、あるいは文殊様や聖天様の化身などともいわれます。

また、〈土・火・水〉の三要素を「三宝」として、荒神様の本体ともいいます。人間はこの三要素がなくては生きていくことができません。そして、これらの三要素が荒れ狂う時、私たちは多大な災難を呼ぶことになるのです。

特に怖いのは地震でしょう。荒神様の真言は「オン ケンバヤケンバヤ ソワカ」とお唱えしますが、その「ケンバ」とは地震のことという説があります。そして、人は土をもってカマドを作り、水を用いて煮炊きをしてきました。「ケンバ」をカマドとする別説もあり、カマド(台所)の神様はこうして崇拝されてきたのです。

現代の台所にも、荒神様は必ずいらっしゃいます。特に不浄をきらうとされますので、ガス台やIHは清潔にせねばなりません。また、その近くで腹をたてたり、悪口をいってはなりません。これを犯すと災難を呼ぶからです。ほんとうですよ。

求道僧への伝授会

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令和6年6月28日

 

昨日、相模原市の蓮乗院にて、私の近著『尊勝仏頂法そんしょうぶっちょうほう宝篋印経法ほうきょういんきょうぼう』(青山社)の伝授会がありました(写真・中央奥が私)。長いコロナ禍の中で伝授会がすべて中止となり、六年ぶりに公的な会所に臨んだことになります。多くの求道僧が集まり、熱心にご視聴をいただきました。

またご住職所蔵の多くのマンダラ絵図が公開され、まるで三千世界の諸仏諸尊に囲まれたような伝授会でありました。遠くは北海道や関西からも参集され、ご挨拶やご質問を賜りました。

求道僧の集まりとは、このようなものでありましょう。ご自坊に帰りまして、さらなるご精進を遂げられますよう念じてやみません。

最勝の陀羅尼とは

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令和6年5月23日

 

真言密教では仏頂尊勝陀羅尼ぶっちょうそんしょうだらに宝篋印陀羅尼ほうきょういんだらに阿弥陀陀羅尼あみだだらにを「三陀羅尼」として尊重し、毎日の勤行でお唱えします。この中で、三番目の阿弥陀さまに関しては皆様にもよく知られ、お寺の本尊としてもお祀りされています。ところが仏頂尊ぶっちょうそんとなると、どういう仏さまなのかよくわかりません。またお寺で宝篋印塔ほうきょういんとうという石塔をよく見かけるものの、説明されることはほとんどありません(下写真)。

そこで私は、このたび『尊勝仏頂法そんしょうぶっちょうほう宝篋印経法ほうきょういんきょうぼう』という行法次第(供養の方法)を刊行し、ご住職さま方に仏頂尊や宝篋印塔への関心を深めていただきたいと考えました(下写真・青山社刊)。

仏頂尊とは仏さまの頭上に盛り上がった仏智(肉髻にくけいといいます)を、尊格として象徴した仏さまです。よく不機嫌な顔つきを「仏頂面ぶっちょうづら」などといいますが、とんでもないことです。仏さまの智恵が最も集まっているので「尊勝」とお呼びするのです。

また宝篋印塔という石塔も五輪塔ごりんのとう光明真言こうみょうしんごんの塔)と並んで、その功徳ははかり知れません。そのことは『宝篋印陀羅尼経』に明記されています。つまり、「三陀羅尼」は光明真言と共に、先祖供養への最勝の陀羅尼だといえるのです。

私のささやかな刊行によって、ご住職さま方が三陀羅尼への意欲をさらに深めていただくことを願ってやみません。

地鎮鎮壇法の実修

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令和6年5月16日

 

昨日、古河市の大行院様(建立中)の依頼により、新しいお寺のための地鎮鎮壇法じぢんちんだんほうを修しました(写真・左が筆者)。

真言密教のお寺を建立する場合は、必ず地鎮鎮壇法を修し、大壇や護摩壇の下に地天ちてん(土地中心の神様)への宝瓶ほうびょう五色玉ごしきだまを、また八方天はっぽうてん(八方の神様)への輪宝りんぼう独鈷杵とっこしょという法具を埋め、五穀粥ごこくがゆを献じなければなりません。ただ、仏具店で簡単に買える法具ではありませんし、修法を伝承した阿闍梨あじゃり(真言密教の導師)も少なくなりました。

昨日は私が導師を、法友が正鎮師しょうちんし(副導師)を、あさか大師の弟子僧2名が承仕じょうじ(役僧)となって、無事に奉修を果しました。一同が貴重な体験をさせていただきましたことに御礼を申し上げますと共に、大行院様の寺門興隆をお祈りいたします。

仏さまの文字

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令和6年4月15日

 

今月の6日・7日、お護摩の前に弟子僧が集まり、梵字ぼんじの勉強会をいたしました(写真は7日)。

 

 

真言密教では自然界はすべて、仏さまの文字(説法)として解釈します。川の流れ、風の音、木の葉の一枚にいたるまで、すべてが仏さまの教えであるとするのがお大師さまの教えです。そして、その仏さまの文字で最も大切なのが梵字です。梵字は本来、得度を受けて僧侶となり、正しく伝授を受けねば学ぶことはできません。特に筆法や筆順など、厳密な決まりがあります。

よく、道路わきの石材店などが展示している石塔には、とんでもない間違いを散見することがあります。また仏具店に依頼して完成した位牌にも、いささか問題な点がないともかぎりません。僧侶の皆様には、ぜひ正しい梵字を習得していただきたいと思います。お札や塔婆を書くことは、仏さまそのものを書くことであることを自覚すべきだからです。

ついでながら、私は自分の著書の梵字は、タイトルと共に自分で浄書してきました。仏さまの著書を刊行するのですから、当然のことです。お大師さまに笑われぬよう、これからも精進せねばなりません。

弘法大師御影の秘密

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令和6年3月24日

 

20日の正御影供しょうみえくでは毎年、お大師さまの御影みえ(お姿の絵)に描かれた念珠・水瓶すいびょう木履ぼくり(木製のくつ)の三点を仙菓せんかのお供えと共に荘厳しています(写真上)。これは私の著書『弘法大師御影みえの秘密』(青山社刊・写真下)を上梓じょうしするにあたって、こうした法具を復元したことに由来します。

真言宗の僧侶は何をするにも、まずはお大師さまに礼拝します。しかし、その御影がどんな意味をなすのか、どんなご誓願をもってあのように残されたのか、まったく教えられていません。私はその一つひとつについて、自分の考えを発表しました。これはお大師さまに結縁した、私の人生の使命であると考えたのです。

これらの法具は、残念ながら高野山にも残っていません。江戸時代の目録には書かれていますが、御影堂みえどう(お大師さま居住の場所)にも霊宝館(宝物館)にも残っていません。これはとても残念なことです。

念珠は赤いので、よく瑪瑙めのうではないかといわれますが、中糸がいて見える以上、これは琥珀こはくに間違いありません。また、木履は福山の〈日本はきもの博物館〉にも所蔵されていないほど貴重なものです。興味のある方は、毎年3月21日(20日)の正御影供にご参詣ください。

お大師さまについての本は数かぎりがありませんが、この御影について書かれた類例はきわめて希少です。私の著書にもご縁をいただけますれば、幸甚のかぎりであります。

孔雀明王の秘法

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令和6年2月27日

 

本日、金沢より真言宗僧侶の方がお越しになり、3名の方に〈孔雀経法くじゃくきょうぼう〉を伝授しました。〈孔雀経法〉とは孔雀明王くじゃくみょうおう(写真)への祈願法で、真言密教〈三箇大法さんかのたいほう〉の一つであり、秘法中の秘法とされるものです。その秘法を修すれば絶大な法験を生むがゆえ、特に国家的な危機を救う祈りとして、ひそかに修されてきました。

 

私がなぜこのような秘法を伝授したのかと申しますと、震災はもちろんのこと、戦争・コロナ感染が未だに絶えないからです。そして、私自身も毎日の祈りに、この孔雀明王の真言を加えているからです。

孔雀は毒虫を食すので、それが人間の三毒(貪瞋痴とんじんち)を食する鳥としてたたえられました。また、その名を「救邪苦くじゃく」とも表記し、邪悪な苦しみを救う深意が込められています。「孔雀明王」とは呼ばれるものの、不動明王などの忿怒ふんぬの〈明王〉ではなく、「みょう(真言)の威力にすぐれた王」の意味であることも知らねばなりません。ご覧のとおり、尊顔はやさしい菩薩形です。

私も心ある有縁の僧侶の方には、今後もこの秘法を伝授していきたいと思っています。また能登半島の被災地が、一日も早く復興しますことを念じてやみません。

日本史最大の巨星

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令和5年10月19日

 

このたび、お大師さまのご尊号とご宝号の立札を設置しました(写真)。

あさか大師のご本尊さまは「厄よけ弘法大師」です。初めてお越しになった方には、尊前にご案内してそのように説明しています。そろそろ来年の厄除一覧表を公開しますが、初詣の折にはこの立札が衆目を集めると思います。

それから、お大師さまのご宝号は「南無大師遍照金剛なむだいしへんじょうこんごう」とお唱えします。〈遍照金剛〉とは真言密教の教主・大日如来を意味しますので、私たちはお大師さまを大日如来そのものとして礼拝しています。つまり、「南無大日如来」とはお唱えせず、「南無大師遍照金剛」とお唱えするという意味です。

このことはとても大切なことで、真言宗僧侶の方でも意外に理解されていません。お大師さまの宝号がすなわち大日如来であるという真実を、私は広く宣揚せんようしたいと思っています。お大師さまは今日、世界中から注目されていますが、まさに遍照(あまねく照らす)そのものでありましょう。

お大師さまは日本史における、最大の巨星です。戦国武将や明治維新の英雄より、はるかに大きな文化的業績を残しました。そして、真言密教の曼荼羅まんだらの教えはますます共感を呼んでいます。このご宝号が、あらゆる国々の人々からお唱えされる日を念じてやみません。

さらなるパワーを引き出す

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令和5年9月19日

 

このところ真言密教の〈法界力ほうかいりき〉という用語を、何度か使いました。文字どおり法界の力、つまりお堂に遍満へんまんする力です。

しかし、〈法界〉とはもちろん、お堂の中にかぎりません。極論をお話しするなら、宇宙のすべてが法界です。だから、その範囲や距離に関係なく法界力は発揮されます。ただ、その中心となる発信地が必要です。それがお寺であり、お導師が修法するお堂ということになりましょう。

あさか大師では開山前のネパール密教のお護摩、毎日の11時半のお護摩や先祖供養の光明真言法こうみょうしんごんぼう、そのほか修行僧や参拝者の読経や真言、そして全国のご信徒の皆さんの祈りが融合して法界力が遍満しています。だから、お護摩の祈りが熱祷ねっとうとなって発揮されるのです(写真)。

法界力は皆さんの祈りの結集です。この毎日の積み重ねがさらなるパワーを呼びます。皆さんの一人一人の祈りが、たとえ世間のほんの片隅にあろうとも、それが融合すれば強大なパワーとなることを忘れてはなりません。

私の祈りを発信地として、皆さんの祈りを融合させましょう。一巻の読経、一回の真言も、法界力の中にあるのです。そして、さらなるパワーを引き出すのです。

金運宝珠護摩の功徳

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令和5年6月18日

 

あさか大師では本日、午前11時半より真言密教の秘法である〈金運宝珠護摩〉が奉修されました。ブログを読んでくださる方にも、この日を持ち望んでいる方が多く、初めての方も含めて大勢が集いました(写真)。

この金運宝珠護摩は〈如意宝珠にょいほうしゅ〉を本尊とする独特のものです。如意宝珠は多くの仏さまや神さまが持つ、縁起のよいお宝として知られています。しかし、このお護摩にお参りしたからといって、一万円札がパラパラと降ってくるわけではありません。なぜなら、お金が入るということは、それに値する何かを世の中に与えた結果であるからです。与えなければ、お金は入りません。まさに、「与えよ、さらば与えられん」です。

しかし、その何かを与えるためには、能力や努力はもちろんのこと、さらには〈うん〉が必要です。その運の力を強めるには、能力や努力に加えた〈徳〉がなくてはなりません。その徳の集まりが如意宝珠なのです。万徳円満の如意宝珠に祈ると、自分も徳を積めるようになります。仏教ではこれを〈功徳くどく〉といいます。先祖には感謝し、社会には奉仕し、人には喜ばれて功徳を積むことができます。

お金はこの功徳を追いかけて、後ろからついて来るのです。世の中を見てください。人がそんをすれば自分がもうかると、利益ばかり追いかけている方は、絶対にお金持ちにはなれません。逆にどうしたら人が喜んでくれるかと、人の利益ばかり考えている方は、いつの間にかお金持ちになります。お金は追いかけるものではなく、後ろから追いかけて来るものだからです。

皆様も功徳をいっぱいに浴びる金運宝珠護摩にお参りください。どなたでも参加することができます。きっと、不思議なことがおこりますよ。

山路天酬密教私塾

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