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挿花
令和4年6月1日
カワラナデシコをいただきましたので、モミジの青葉と共に本堂脇の床の間に挿しました(写真)。漢字では〈河原撫子〉と書きます。そのかわいらしさが、「撫でてみたいような子」という意味なのでしょう。清少納言は『枕草子』で、「草の花はなでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」と讃えています。
花の盛りは晩夏ですが、長く咲くので〈常夏〉の異名があるのでしょう(現代語のように、一年中が夏という意味ではありません)。早いものは春から咲き出し、秋まで続いて〈秋の七草〉に入ることは、ご存知のとおりです。
かつて、「なでしこ」は日本女性の代名詞でした。可憐でありながらも、たくましさを秘めているからです。
実は私は、農耕民族である日本人は、闘いには向かないのではないかと思っていました。特に強靭な体力と闘争心を伴うスポーツでは、身長の低い日本人に不利であることは間違いありません。「日本人は小技のスポーツで勝負をすべきである」などと、自論を持っていたものでした。
しかし、2011年のワールドカップで〈なでしこジャパン〉がアメリカを破って優勝した時は、さすがにそんな自論は吹き飛びました。そのほかのスポーツでも、日本人選手の活躍はめざましいものがあります。殊に女性選手にはエールを送りたいと思っています。撫子のように強く、そして美しく。