花梅

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挿花

令和2年2月17日

 

春らしくなって、梅が一気に開きました。

奈良時代の花見といえば桜ではなく、実は白梅だったのです。また平安時代には紅梅こうばいが渡来し、菅原道真みちざね公は特にこれを好みました。しかも、自分の住居を「紅梅殿」と称したほどです。天神社の境内に梅を植えるのは、この理由からです。また『枕草子まくらのそうし』にも、「木の花はきもうすきも紅梅」と記載があります。

今日は花梅(ハナウメ)の小枝をいただき、さっそく床の間にしました。一種だけですが、ほかの花はこのさい不要でしょう。本堂に三千世界さんぜんせかいの香りがただよいました(写真)。

貝原益軒かいばらえきけんは『養生訓ようじょうくん』の中で、人生の楽しみを次のように語っています。

「ひとり家にいて静かに日を送り、古書を読み、古人の詩歌しいかぎんじ、こうき、名筆をうつし、月や花をながめ、草木を愛し、四季の景色とたわむれ、微酔びすいほどに酒をみ、庭で育てた野菜をて、集まった仲間と楽しく食べれは、多いに気を養うことができる。これは貧しい人であっても出来ることであり、裕福でありながらこのような楽しみを知らない人より、はるかにすばらしいことである」(筆者訳)。

もはや、何もお話することはありません。うらやましいかぎりでありますが、私にも届かぬ楽しみではなさそうです。そして、人生の楽しみはこれに尽きるのでありましょう。皆様、いかが。

(明日から出張のため、2~3日ブログを休みます)

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