一代で富豪になれるのか

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あさか大師

令和5年1月26日

 

世の中には一代で富豪になったとされる立志伝の人物がいます。しかし、私はその人物が〝一代〟で富豪になったとは、とうてい思えません。なぜなら、どのような分野であれ、偉大な業績は決してその人物一人の一代の力だけでは成し得ないからです。おそらくは何代かに渡って、世の中に積んだ先祖の徳があったゆえだと思うからです。たとえば、飢饉ききんや震災の折に多くの食をほどこしたといった徳が、親から子へ、子から孫へと引き継がれ、ついにある人物をして顕現けんげんするからです。

もっとも、そのような家に生まれたその人物もまた、同じような徳を持っていたには違いありません。私はこのことを、「タテには先祖から、ヨコには前世から」とお話をしています。80億もの人間が生息する中に、タテには家系の流れがあります。そして、ヨコには無限ともいえる魂の流れがあります。その最もふさわしい家系とふさわしい魂が交差し、タテとヨコの流れが一致して人が誕生するのではないかと私は思っています。

では、徳とは何でしょうか。それは、世の中に与えたもの、与えた力です。世の中の人が欲するもの、喜ぶものを与えたその業績をいうのです。物とも心とも問いません。その業績が徳となってその人物を包み、運を開き、望むものを手に入れ、富豪となり得たのです。時には財を、時には食を、また時にはやさしい言葉や真心を与えたに違いありません。それが何代かに渡らねば、一代の富豪など生れる道理がありません。人には能力に加えて、徳の力こそ大切であるからです。

では、私たちは富豪にならずとも何をすべきでありましょうか。あさか大師では「一食布施いちじきふせ」を皆様に呼びかけ、月に一度、一食分の食事代(三百円~千円程度)を恵まれない方々に布施する運動を行っています。皆様、ちょっとした小銭があると、募金箱(写真)に入れてくださいます。昨年は「ウクライナ緊急募金」として、ユニセフに寄進しました。

このささやかな布施が実って、やがては次の世で、あるいは次の次の世で、皆様に偉大な徳をもたらすことを願ってやみません。ご希望の方には、専用の振込用紙をお送りいたします。どうぞ、お知らせください。たとえ功徳は小さくとも、その積み重ねこそ大切ではないでしょうか。

山路天酬密教私塾

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