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人生
令和2年1月15日
今日は東大阪市より、真言宗僧侶の方がお越しになりました。
まったくの初対面でしたが、お話をうかがうと、大変に苦労の多い人生を歩まれたようでした。先の阪神大震災でご家族を失い、孤独と逆境の連続でした。高野山で三年ほど奉公をなさったようですが、やがて現在お勤めの寺で得度をされました。今は毎日が多忙で、さらなる求道のために私をお訪ねくださったようでした。
人は苦労をすると、その苦労をシワのように残す方もいますが、その苦労が魅力となって人間味を発揮する方もいます。その方は性格も明るく、人間味がありました。また読書家で、教養の幅もありました。私の書棚から佐藤一斎(江戸時代の儒学者)の『言志四録』を見出し、「自分にとっても座右の書です」とおっしゃいましたので、私は「さすがだな」と思ったものでした。
『言志四録』は日本の『論語』ともいうべき名著です。明治維新の英雄たちを生み出したした原動力でもあります。特に西郷隆盛はこれを座右の書として愛読し、『南洲翁遺訓』(彼の名言集)の根底ともなりました。。
読書をしたからといって、人生がわかるわけではありません。しかし読書をしなければ、なおさらわかりません。たとえ記憶から薄れても、それは教養の下地となって、どこかで人生を潤すはずです。人生を潤す力は、読書から生まれるものであると私は信じています。