令和2年3月10日
二十代の頃、玄米菜食(マクロビオテック)に熱心な友人がおり、彼らの集会や専門のレストランなどにも同行しました。また各地の断食道場や健康道場にも入門し、経験を重ねました。最近では糖質制限食や低糖質食(ローカーボ)なども、自分で体験してみました。そのほか、食事や健康法に関する著作はかなり読みましたから、この分野については相当に詳しい方だと思っています。
食事についていま考えていることは、あまり片寄ってはいけないということ、その土地でとれた季節のものを中心に楽しくいただくということ、そして日本人はやはり伝統の和食を中心にすべきだという点です。実は玄米菜食にこだわっている人は、顔ツヤのよくない人が多いのです。それはあれもダメこれもダメと、食事に対する偏見があまりにも強いからです。食事は楽しく、時間をかけていただくことが大切です。よく噛みなさいといっても、玄米を口に入れるや箸を置き、全員が無言で、ひたすら百回を噛み続ける様子は異常としかいいようがありません。
よく地中海料理を食べている人たちが長命なのは、オリーブオイルによるものだといいます。しかし私は、赤ワイン(リスベラトロール)や新鮮な魚介類(DHA・EPA)によるところが大きいと思いますし、楽しくおしゃべりをしながら何時間もかけて楽しむところにその理由があると考えています。昔の日本では食事中に話をすると、親から叱られました。禅寺の雲水(修行僧)ならともかく、これは日本人のしきたりとしては、めずらしく悪い一面が出ていたからです。
しかし、伝統の和食は理想の食事だと思います。日本人はやはりご飯をしっかりと食べるべきなのです。きつい肉体労働をするとわかりますが、パンやめん類といった小麦粉食では力が出ません。極端な糖質制限食も脂肪は落ちますが、疲れやすくなって力が出ません。日本人にとってご飯による糖質は、最も大切な栄養素だと思います。「仏飯」ともいい、「舎利」ともいうでしょう。つまり、ご飯は仏さまそのものなのです。
また昔の日本人はヨーグルトを知らずとも、味噌・醤油・梅干・漬物・納豆といった発酵食品(植物性乳酸菌)によって腸内環境を調えていたのです。日本人は魚介類を加えた和食を中心に、たまには肉類を加えるほどがよいのではないでしょうか。このお話は明日も続けます。