カテゴリー
食事
令和4年1月22日
寒い日が続くので、毎日のように「けんちん汁」をいただいています。黒ゴマ塩をかけた雑穀ご飯によく合い、これに焼き魚か納豆があれば、もう何もいりません。一般にはしょうゆ味ですが、塩味よし、みそ味よし、酒粕を加えてもまたよしで、いずれにしても体がよく温まります(写真)。
けんちん汁の語源については、建長寺(鎌倉)の精進料理、つまり「けんちょう汁」が訛ったという説があります。しかし、別説もあり、そのことを『鬼平犯科帳』DVD版の「馴馬の三蔵」の中で、村松忠之進(猫どの)が木村忠吾に講釈するシーンがあります。鬼平ファンの方は、ぜひご覧になってください。
すなわち、正しくは巻繊汁(けんちぇんじる)」だというのです。〈繊〉とはダイコンやゴボウを細く切ったもの、〈巻〉それを油で炒め、湯葉や海苔で巻いたもの、それを汁仕立てにしたものが「けんちぇん汁」とのことです。さすがは猫どの、なかなか説得力がありますが、それにしても「巻繊汁」とは当て字も発音もむずかしく、あまり実感がありません。私たちにはやはり、「けんちん汁」の方が親しめます。
けんちん汁は切った野菜を油で炒めることに特徴がありますが、豆腐やシイタケなどのキノコ類、さらにダイコン葉などの青菜を加えると色も鮮やかです。要は冷蔵庫の残り野菜でよいのです。お寺で野菜をムダにしないための智恵が、これほど生かされた料理はありません。私はダイコンばかりは銀杏切りですが、あとはすべて乱切りで、豆腐やこんにゃくは手で千切って入れています。寒いこの時期はショウガをすりおろして加え、特製の七味唐辛子をドバドバかけていただきます。一口飲めば、一人だけの食卓で、おもわず、「うめぇー!」。