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真言密教
令和6年7月25日
あさか大師には、御守と共に〈火伏札〉が陳列されています。いわゆる「台所の神様」「荒神様」の御札で、火難除のために皆様がお求めになります。お寺でも台所のガス台近くにお祀りしています(写真)。
荒神さまは「三宝荒神」と呼ばれますが、どんな神様なのか、実ははっきりしていません。日本古来の神様と真言密教の明王様が習合した尊格だとしかいいようがありません。お像や御影(絵)を見ると、怖い忿怒の形相をしています。一説にはお不動様の化身、あるいは文殊様や聖天様の化身などともいわれます。
また、〈土・火・水〉の三要素を「三宝」として、荒神様の本体ともいいます。人間はこの三要素がなくては生きていくことができません。そして、これらの三要素が荒れ狂う時、私たちは多大な災難を呼ぶことになるのです。
特に怖いのは地震でしょう。荒神様の真言は「オン ケンバヤケンバヤ ソワカ」とお唱えしますが、その「ケンバ」とは地震のことという説があります。そして、人は土をもってカマドを作り、水を用いて煮炊きをしてきました。「ケンバ」をカマドとする別説もあり、カマド(台所)の神様はこうして崇拝されてきたのです。
現代の台所にも、荒神様は必ずいらっしゃいます。特に不浄を嫌うとされますので、ガス台やIHは清潔にせねばなりません。また、その近くで腹をたてたり、悪口をいってはなりません。これを犯すと災難を呼ぶからです。ほんとうですよ。