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真言密教
令和6年3月24日
20日の正御影供では毎年、お大師さまの御影(お姿の絵)に描かれた念珠・水瓶・木履(木製の靴)の三点を仙菓のお供えと共に荘厳しています(写真上)。これは私の著書『弘法大師御影の秘密』(青山社刊・写真下)を上梓するにあたって、こうした法具を復元したことに由来します。
真言宗の僧侶は何をするにも、まずはお大師さまに礼拝します。しかし、その御影がどんな意味をなすのか、どんなご誓願をもってあのように残されたのか、まったく教えられていません。私はその一つひとつについて、自分の考えを発表しました。これはお大師さまに結縁した、私の人生の使命であると考えたのです。
これらの法具は、残念ながら高野山にも残っていません。江戸時代の目録には書かれていますが、御影堂(お大師さま居住の場所)にも霊宝館(宝物館)にも残っていません。これはとても残念なことです。
念珠は赤いので、よく瑪瑙ではないかといわれますが、中糸が透いて見える以上、これは琥珀に間違いありません。また、木履は福山の〈日本はきもの博物館〉にも所蔵されていないほど貴重なものです。興味のある方は、毎年3月21日(20日)の正御影供にご参詣ください。
お大師さまについての本は数かぎりがありませんが、この御影について書かれた類例はきわめて希少です。私の著書にもご縁をいただけますれば、幸甚のかぎりであります。