令和3年1月23日
人生は思うようにはならないことも事実ですが、どうにかなるものだということも事実です。つまり、プラス思考もマイナス思考も、共に必要なのです。プラス思考に傾き過ぎると、最悪の事態に対応できません。だから、「どうにかなる」ほどの気楽な構えも必要です。生きていくためには、いずれをも腹に含んでおくことです。
先日、私が中学一年生頃の記憶が甦りました。あれは今頃だったのか、あるいは節分を過ぎた頃だったのか、柔道仲間の悪友三人が集まり、寒中水泳に挑戦しようとことになりました。もちろん〝修行〟などというレベルではなく、単なる度胸試しほどのものでした。私の郷里(栃木)には海がありませんので、さっそく一時間ほど自転車を走らせ、目ざす鬼怒川の岸辺に向いました。晴れてはいましたが、風の冷たい日であったように思います。
さて、いざ威勢よく気合を入れ、川に入ったものの、またたく間に体はガタガタと震え、唇は紫色に変じ、「おい、これはたまらんぞ!」ということになりました。とにかく焚火ででも体を温めねばどうにもなりません。しかし、そこは悪ガキどものことで、マッチもライターも持っていません。
私は必死になって考え、身辺を見渡しました。すると、誰かが夜釣りでもしたのか、わずかな燃えあとの炭を見つけました。しかし、火種がありません。さらに震える体をちぢこませて歩くと、ガラス瓶のかけらを見つけました。私はとっさに、そのガラス瓶のかけらをレンズにして、その炭に太陽光を一点に集めました。何と、みごとに火種になったではありませんか。流木の薪をくべるや焚火となり、ついに事なきを得ました。
人生はどうにかなるという思考は、案外、この時の体験からなのでしょうか。とっさの判断は、意外に人生を動かすものです。お役に立ちますか、皆様。