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心
令和2年2月11日
「陰膳」という言葉をご存知でしょうか。本人がいなくても、本人がいつも座っている食卓に、本人の食器や箸でいつもどおり食事を据えることです。
昔は旅に出た人の安全を祈って、よく行われました。昔の旅は危険な道中が多く、また盗賊や山賊が出没しましたから、このようなことが行われていたのです。これを現在に応用するなら、たとえば年頃の息子さんや娘さんが家出をした場合に用いることができます。お母さんが陰膳をすると、不思議に〝里ごころ〟をおこして、帰って来ることが多いのです。専門的なご祈祷法もありますが、私は何度かこの陰膳をすすめて、家出人を呼び戻せた経験があります。
また、家を離れた遠いところでの受験や試合、危険な仕事をする場合にもよいでしょう。家で落ち着かない気持ちで過ごすより、ご自分のためにもなるはずです。ぜひ、試みてください。
人は決して一人で生きているわけではありません。特に家族は精神的な絆で結ばれています。子供に異変があれば、特に母親は胸騒ぎがするなど、直観的に感じ取るものです。もちろん、その逆もあるのは当然です。
これは、家族は同じ遺伝子で連結しますが、同時に精神的にも連結するからです。子供が母体に宿れば、父親との遺伝子によって、身体と精神を共有するからともいえましょう。
本来、心(精神)には時間や空間の隔たりがありません。昔の人はたとえ遠く離れていても、心の思いが通じることを知っていたのです。