令和5年5月7日
「手塩にかける」といいますが、その意味をご存知でしょうか。
実はお母さんが手に塩をふりかけて、一生懸命に〈おにぎり〉をにぎることなのです。それが、手塩にかけた子育てなのです。その手塩にかけたおにぎりを食べているかぎり、子供は〈おふくろの味〉を忘れません。そして、おふくろの味を忘れないかぎり、親不孝な子供にはなりません。最近のコンビニのおにぎりは大変に工夫され、おいしく作られていますが、失礼ながら、厳密にはあれは「おにぎり」とは呼べません。ご飯を型に入れて力学的に圧縮しただけですので、いうなれば「おしぎり」(笑)と呼びます。
〈おにぎり〉や〈おむすび〉の意味を考えてみましょう。〝にぎる〟ともいい、〝むすぶ〟ともいいます。単に力学的な力に加えるだけではないのです。それは、手作りのものと比べればよく分かることです。手塩の上にご飯をのせ、力を加えるけれども、力まかせではありません。力を内に込めながら、逆に力を抑えるはずです。そして、何より想いを込めねばなりません。つまりハンドパワーです。これが〝にぎる〟ことであり、〝むすぶ〟ことです。ご飯の粒と粒を結ぶのであって、潰すのではありません。だから、堅くしまっているけれども、粒と粒が立ち上がり、生き生きと結び合っています。
また、工場で大量生産された商品は、均一ではありますが、どこか深みがありません。やはり、人の手にはエネルギーがあるということなのです。味にも、プラスアルファの深みがあります。私もよくコンビニのおにぎりをいただきますが、やはり昔ながらの手作りの味を忘れてはならないと思っています。今朝は、雑穀米のご飯でにぎってみました。(写真)。
特に若いお母さん方には、手塩にかけておふくろの味を残してほしいものです。母と子を結ぶおにぎりこそ、本当の「おむすび」だからです。どうか、手塩にかけて子育てをなさってください。そして、手塩にかける意味を忘れないでください。