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社会
令和元年5月16日
私はどのような職業も、いわゆる〈サービス業〉であると思っています。
サラリーマンであれ、職人でも農家でも、また運転手でも船乗りでも、仕事上の商品や技術に加えた別の何かをを与えなければならないからです。その何かとは、信用であり、真心であり、親切であり、総じて私はこれをサービスと称し、すべての職業はサービス業であると考えているのでございます。
現代人は豊富なモノの中で暮らし、スーパーでもコンビニでもお店でも、そこで働く店員の応対が悪ければ、二度と足を運びません。だから、商品や技術に加えた何かを与えねば、きびしい競争に勝ちぬくことはできませんし、発展も望めません。
その何かを、私は〈プラス・アルファの努力〉とお話しています。これでいいと思ったら、さらに、もうひとつの何かを工夫する、これがプラス・アルファの努力です。足腰の悪い高齢者がいらっしゃれば、手を貸したり、イスを運んだりしていますか? 小さなお子さんや赤ちゃんがいらっしゃれば、あやしたり、やさしい言葉をかけたりしていますか? この小さなことをおろそかにする人は、決して大事をなすことはできません。いや、大事をなさずとも、普通の仕事すらできません。要はその根底に、人に対する、社会に対する愛情や感謝があるか、そこなのです。
これは、お寺だって同じことです。立派な法衣を着て、袈裟を掛けていれば、人が尊敬する時代ではありません。こんなことすらわかっていない和尚が、あまりに多いのです。「坊主にくけりゃ云々」というでしょう。権威や肩書だけでは通用しませんよ。あなた様だって、同じですよ。