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人生
令和元年6月3日
「井の中の蛙、大海を知らず」といいます。井戸の中という狭い世界に住む蛙(カエル)は、大きな海の広さを知らない、と。そのことを皮肉に表現しています。このことわざは中国の古典『荘子(秋水篇)』に登場するお話を、日本流にアレンジしたものです。
ところが、このことわざには、「されど空の深さ(青さ)を知る」という続きがあることはあまり知られていません。井戸の中の蛙は、来る日も来る日も天上の空を見つめています。大海は知らずとも、空の深さも青さもよく知っています。井戸という狭い場所にとらわれ、海の話が通じなくても、空のことならよく知っているということでしょう。
つまり、たとえ狭い分野とはいえ、一つのことに徹するならその道の専門家になれるのです。博学多才ではなくとも、こつこつと一道に励めば必ず大成します。もちろん一分野だけの専門家がよいか、博学多才がよいかは一概にはいえません。
何ごとにも良し悪しがあり、二面性があるのです。自分とは性格も気質も違うからといって、安易に他人を批判すべきではないのです。そう考えると、井の中の蛙は大したものです。私が生まれた実家にも井戸があり、夏にはスイカを冷やしたりしたものです。たしかに、中に蛙がいたように思います。そうなると、上からのぞいていた私を、蛙があざ笑っていたかも知れません。「空のことがわかるのか?」とね。汗顔、汗顔!