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弘法大師の御影

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令和7年3月5日

 

お大師様(弘法大師)は承和2年3月21日に〈ご入定にゅうじょう〉されました。ご入滅ではなく、ご入定と伝承されてます。つまり、死滅したのではなく、今もなお生きて瞑想されているという意味です。そして、お大師様を信仰し、その宝号を唱える人と共に、常に「同行二人どうぎょうににん」であるという意味です。

お大師様のお姿を「御影みえ」(写真)といい、ご入定の日にこの御影に供養する法要を〈正御影供しょうみえく〉といいます。あさか大師では毎年3月21日(今年は20日)午前11時半に、お護摩と共にご入定の正御影供を奉修しています。

御影にはお大師様の持ち物として、水瓶(浄水をいれた法具)・木履(木製のクツ)・念珠(琥珀と水晶製)が描かれています。私はこれらの密教法具を考証して復元し、正御影供の折にお供えしています。唯一無二のものですが、どなたでも拝観できます。関心のある方は、ぜひお参りください。多くの皆様に、お大師様との勝縁をいただいてほしいと念じてやみません。

求道の外国人僧

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令和7年2月21日

 

昨日、キーフ・ムーア・大徹だいてつさん(アメリカ国籍)と、スティーブン・イップ・直道じきどうさん(カナダ国籍)が、私の伝授を受けに来山しました(写真)。お二人ともまじめで礼儀正しく、お大師様を慕う外国人僧です。読経も真言も、しっかりとお唱えしていました。

いま、お大師様は世界中で人気があります。日本で得度をして僧侶となり、修行をする熱心な外国人も増えてきました。それは真言密教が曼荼羅の教えであり、あらゆる仏様も神様も融合し、闘争のない調和の宗教であるからでしょう。

宗教の違いから国と国が争う現実に、何十億もの人々が絶望しています。今後はこうした外国人のためのテキストが必要になるでしょう。

私も真摯しんしな外国人僧には、法を伝えねばならないと考えています。日本が好きでお大師様を崇拝する外国人の方が、ますます増えることを願っています。

荒神様の火伏札

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令和7年1月16日

 

初詣の皆様がお求めになるお札のひとつに、「荒神こうじん様の火伏札ひぶせふだ」があります。いわゆる、「カマドの神様」、台所の火難除札のことです(写真)。

人が生活する以上、火は欠かせません。しかし、火は必要であると同時に、危険でもあります。また、現代はスイッチひとつで発火が可能なだけに、火に対する畏敬いけいの念がありません。

火は、三宝荒神さんぼうこうじんという神様が司どっています。つまり、神聖なものです。礼を尽くさねば、必ずおとがめを受けます。だから、昔はカマドのそばで悪口をいったり、腹を立ててはいけないと教えられました。これを守らないと、盗難にあったり、失物をしたりします(本当ですよ!)。

あさか大師の火伏札は、全国からお申込みがあります。一体千円です。ご希望の方はホームページの「お問い合わせ」からご連絡ください。

続・二十七宿と二十八宿のどちらが正しいか

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令和6年12月23日

 

あさか大師では二十七宿を用いていますが、この場合は〈牛宿ぎゅうしゅく〉がありません(写真)。その理由はインドの識者が月の運行を観察し、一ケ月を27、3日と判断したからでした。その日々の配置を二十七宿としたのです。

吉祥の宿はいくつかありますが、特に仏教では〈鬼宿きしゅく〉が尊ばれました。お釈迦様の誕生日であったという一説もあります。ご祈祷や祝事にはよく用いられました。

また、真言密教の行法始め(開白かいはく)にも重んじられています。この場合の〈鬼〉はもちろん、悪鬼ではありません。神通力のある鬼神とでも覚えてください。

二十七宿と二十八宿、どちらが正しいか

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令和6年12月21日

 

真言密教では日の吉凶を決める場合、二十七宿、または二十八宿を用います。したがって、一般に用いられる大安・仏滅を重んじることはありません。ところが、暦によって二十七宿と二十八宿の違いがあります。どちらを用いるのか、皆様も迷うことがあるのではないでしょうか。

この答えはお大師さまがどちらを請来しょうらいし、どちらを用いられたかで決定されるべきでありましょう。そこで私が調べましたところ、最古の資料は高野山霊宝館が所蔵する『宿曜経しゅくようきょう』でありました。また、同志社大学が所蔵する『宿曜経』(写真)も、やや時代は下がりますが、お大師さま請来の写本を伝えるものでありました

これらの古書によりますと、いずれも二十七宿でありまして、お大師さまが用いられていた「古法」と呼ばれる真説であります。したがって、あさか大師では二十七宿の暦を皆様に配布しています。皆様からご相談をいただいた場合も、この二十七宿で判断しています。また、新春護摩のご祈願をなさった方には、二十七宿の暦をお渡ししています。

書店で売られる暦は二十八宿が多いようですが、この点をご注意いただき、日の吉凶をご判断いただきたいと思います。

仏様は何がお好きなのか

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令和6年10月31日

 

では仏様はいったい、何がお好きなのでしょうか。仏様は神様とは違い、一切の執着がありません。したがって、何が欲しい、何をお供えしてほしいという次元ではないのです。

しかし、あえてお話をするなら、私たちが善いことをして、悪いことをしない生き方をすることをお喜びになるのだと言えましょう。つまり、功徳がお好きなのだと私は思っています。

その功徳を積む修行を六度ろくどといい、布施・持戒・忍辱にんにく(忍耐)・精進・禅定・智慧の六つの徳目で表します。そして、真言密教では布施には閼伽あか(水)を、持戒には塗香ずこう(身に塗るお香)を、忍辱には華鬘けまん(花)を、精進には焼香を、禅定には飯食(ご飯)を、智慧には灯明をお供えして六度の修行をお誓いするのです(写真)。

その意味は、水はすべてに恵みを与えるので布施を、塗香を身に塗ると気持ちが引き締まるので持戒を、花は酷寒に耐えて咲くので忍辱を、焼香は最後までともるので精進を、ご飯をいただくと心身が落ち着くので禅定を、灯明が暗闇を照らすので智慧を、それぞれに表しています。

緑色のお供えはシキビです。日本には香木がありませんが、シキビの葉がお香のかおりを放つので、仏花としてこれを用います。これが「仏様は何がお好きなのか」のお答えです。

神様は何がお好きなのか

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令和6年10月29日

 

お不動様や観音様のご宝前、また先祖の仏壇やお墓に、よくお酒が供えられています。しかし、これは神前にお酒を供える伝統が習合したのであって、本来の様式ではありません。特にお不動様はいかにもお酒が強そう(笑)なので、このような風習になったのでしょう。

しかし、神様にはお酒をお供えします。あさか大師では鎮宅霊符尊と八大龍王様にはお酒を含めて、八種類のお供えをしています。これを「八種供物」といい、お酒・聖水・お茶・餅(田菓子たがし)・カヤの実(木菓子こがし)・歓喜団かんぎだん(あんと漢方薬の菓子)・五穀(米)・塩をお供えしています(写真)。

これらはみな神様がお好きなものばかりですが、どんなお酒を供えるか、お茶はどのように供えるか、白米か五穀米かなどに口伝があります。若い時に伝授を受け、神具をそろえていた頃がなつかしく思い出されます。

鶴太郎さんの不動明王

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令和6年10月16日

 

今年5月に私が鎮壇法ちんだんほうを修した大行院だいぎょういん(茨城県古河市)の新寺建立が進み、本日はその進行を視察しました。本堂には片岡鶴太郎さんの天井画が施され、みごとな不動明王が印象的でした(写真上)。

また鶴太郎さんも自ら来院され、作品の設置に満足したようでした(写真下)。

大行院は不動明王を本尊としてお護摩を修します。護摩壇は天上の高さや換気扇の設置が大切なので、そのために視察したのです。来春には竣工しますので、お近くの方はぜひご参拝ください。

仁和寺での講義

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令和6年9月29日

 

昨日、京都の総本山仁和寺御室会館にて、真言宗僧侶の方々の前で講義をしました。長いコロナ禍が続く中、奈良や京都での出仕が中止となりましたが、久しぶりに熱弁をふるいました(写真)。

密教の僧侶は仏様や諸天様を拝む場合、その次第書が必要になります。次第書には厳格な規則がありますが、自分用のものを作る必要があります。そこで「私次第ししだい編成の仕方」と題してお話をしたわけです。

地元の僧侶はもちろんでありますが、遠方からお集りの方々もたくさんおられ、熱心に聴講していただきました。これが縁で、ご自坊でのお勤めに、さらなる拍車がかかることを願ってやみません。ご参集の皆様、ありがとうございました。

八種類の供物

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令和6年9月4日

 

仏さま(如来・菩薩・明王)へのお供えには密教修法での荘厳しょうごん(壇上のおかざり)を除いて、特別な決まりはありません。たとえば「お不動さまはいかにもお酒が好きそうだ」といってお供えをしますが、決してお不動さまがお酒を望んでいるわけではないのです。

仏さまは悟りの境地に達していますので、「あれがほしい、これがほしい」と執着をいだくことはありません。もちろん、たたりをなすこともありません。よく「観音さまが怒ってるよ」などという方がいますが、それは観音さまを名のった方が都合がよいからなのです。大慈大悲の観音さまが祟ることは絶対にありません。このことは心得ておきましょう。

しかし、神さま(天・権現・明神など)はそうはいきません。特に聖天さまや荒神さま、星祭りの神さまなどには、厳密な決まりがあります。また、それに違反したり、御礼参りを怠ると祟りをなすこともあります。神さまにはまだ、執着があるからです。ただ、神通力で仏教を守護し、仏さまによくおつかえくださるので、そこがありがたいのです。

あさか大師には神さまとして鎮宅霊符尊ちんたくれいふそんと八大龍王さまがお祀りされていますので、いつも八種類のお供えをしています。すなわち、お酒・水・お茶・洗米(五穀)・塩・もち・菓子・木の実です(写真)。

「触らぬ神に祟りなし」といいますが、よくいい得ています。簡単な気持ちで神さまに願がけをしたり、失礼をしてはなりません。それができないなら、はじめから触らぬ(!)ことです。

山路天酬密教私塾

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