ものの本質はどこに現れるのか
令和6年6月20日
お寺の生活をしていて、何が変わるかといいますと、臭覚が敏感になることです。
常にお香の薫りをかいでいますので、よいも悪いも、臭覚が敏感になるのは当然です。特に上等な沈香(写真)や伽羅といったお香を使用していますと、その魂までも清められ、わずかな異臭でもかぎ分けるようになります。
このことは、ものの本質に対しても同じです。お香によって魂が清められると、人の本質がわかるようになります。「うさん臭い」などと言うではありませんか。悪意をもって近づいて来る人は、それらしい臭いを放つものです。美術品の鑑定でも「本物の香りがしない」などというではありませんか。「なんでも鑑定団」の先生方も、最後の決め手は香りなのです。ものの本質は香りと臭いに現れると知りましょう。
お坊さんでも本尊さまを大切にして、高貴なお香を使用してお勤めをしている方は、どことなく高貴な香り(つまり、仏の香り)が漂うものです。教義だけを勉強しても、この心がけがないと、うさん臭くなるかも知れません(笑)。
最近は若い方にもお香が流行して、とてもよいことです。日頃のストレスを、お香によって癒していただきたいものです。皆様もぜひ、お香の専門店を訪ねてみてください。魂までも清められますよ。
お香の〈十徳〉
令和元年6月28日
もう、こんな時間になりました。
今日は私の六十七歳の誕生日でした。昨日のブロブにも書きましたが、まさに「転げ落ちる」速さです。まったくの一人暮らしなので、お祝いなどするはずもなく、静かに伽羅のお香を焚いて過ごしました。とても幸せでした。さすがに伽羅は最高のお香です。
お香には〈十徳〉があるとされますので、ご紹介しておきましょう。
①鬼神を感応させる。
②身心を清浄にする。
③穢れを取り除く。
④眠気を覚ます。
⑤さびしい時の友となる。
⑥忙中にに閑(ひま)をもたらす。
⑦少量にて用をなす。
⑧永く保って朽ちない。
⑨常用して害がない。
⑩幅広く好感を与える。
今日は「さびしい時の友となる」ではありましたが、いよいよ鬼神が感応し、穢れを取り除いて、何か異様なヤル気が満々となりました。
体力はともかく、この歳にして気力も知識欲も決して衰えません。あふれる蔵書にも立ち向かいましょう。いい誕生日になりましたよ。