カテゴリー
仏教
令和元年8月16日
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの話題が増えてまいりました。八月の炎天下で、はたして選手の体力はいかがなものか、まず心配なのはそのことでしょう。特にマラソンランナーは大丈夫なのかと、皆様も気になるかと思います。
そのマラソン競技のことですが、先頭ランナーが独走態勢となった場合、新記録は生まれにくいといわれています。その理由は、ライバルが隣りを走って、順位を競うことがないからです。先頭5人から3人へ、3人から2人となり、ついに2人の勝敗となった時、人間には不思議な力が湧き出て来るそうで、新記録が生まれやすいということなのです。
だから、私たちにもライバルがいて、「あの人には負けたくない」と思うぐらいの気持ちを持った方がいいのでしょう。ライバルがいないと、人はとかく怠けるはずです。そのライバルが何を始めた、何を成し遂げたといった情報が耳に入れば、一意奮闘するのが人の常なのです。それが単なる嫉妬心であれば、煩悩に過ぎません。しかし、その嫉妬心を努力の原動力とするなら、煩悩が転じて菩提となりましょう。これ、仏教が教えるところです。
人は本来、怠けものなのかも知れません。しかし、その怠けものが熱心な努力家になれるのは、まさにライバルの効用なのです。私もそのことを肝に銘じて、ライバルはありがたいと思っています。