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挿花
平成31年4月7日
本堂の片隅に小さな床の間があり、お軸をかけて野の花を挿しております。
お軸はたいていは古代の拓本を選んでおります。現代人は漢詩や古筆は読めませんので、このようなものの方がわかりやすく、また親しめると思っております。また拓本には、現物とは異なる別の世界を浮き出し、〈美の法門〉に導いていただけるからでございます。私の敬慕する會津八一先生が、著書の中でそのように述べておられます。
本日は東大寺の南にある頭塔(石仏の塚山)のお軸をかけました。これでも奈良時代のものでございますよ。遠い昔、人々はこのような石仏にご自分の願いを託しのです。二度ほど訪ねましたが、管理人様に予約を取れば、拝観もできるはずでございます。
瀬戸の瓶子に挿したシロツバキの蕾が少し開き、ほどよい加減でございましょう。お参りの方が、お大師さまと共に手を合わせてくださるのが、私の楽しみなのでございます。