消え失せた花々への挽歌

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挿花

令和7年10月28日

 

この夏の猛暑で、あさか大師の山野草は大きな被害を受けました。半日陰はんひかげを好む山野草に、あの炎天下は耐えられません。早朝や夕方に施水をしても、日中ともなれば「焼け石に水」だったのです。

それでも葉焼けした中から、いくつかの花が姿を見せました。昨日、鮮やかなシュウメイギクが目につき、さっそく一輪をしました(写真)。

漢字では「秋明菊しゅうめいぎく」と書きますが、花弁の形は決して〈菊〉ではありません。本花をキフネギクといい、京都の貴船きふねが原産です。キク科ではなく、キンポウゲ科とのことで、混乱するかも知れません。

群生する中では特に引き立つとも思えませんが、一輪挿しがとても似合います。まるで貴婦人が訪れたようだと、参詣の皆様が讃えます。

清楚な純白が美しく、愛着が続くのも、必死に生き延びてくれたからでしょう。いつまで咲いてくれるのか、消え失せた花々への挽歌ひきうたとなりました。夕闇が迫る中、いずれとも、あらばあれ。

山路天酬密教私塾

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