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あさか大師
平成31年4月5日
トイレの片隅に小さな香炉を置き、日に何度かお香を焚いております。もちろん、トイレの神様である烏蒭沙摩明王への感謝と供養の気持ちを込めてのことです。
お香と申しますと、「抹香くさい」などとお思いでしょうか。抹香と申しますのは、高級な名香を薫じるための下地のお香のことです。その上に名香を薫じるのです。その名香たるや、えもいえぬ不思議な香りに、幽玄なる妙境へと誘われるものでございます。
東京ではあまり見かけませんが、さすがに京都の旅館や料亭などには、トイレに必ずお香が焚かれております。そんなトイレを目にしますと、「さすがだな」と、いつも思うのでございます。トイレには神様がいらっしゃることを、いつも意識しているということでございましょう。千古の都、文化の水準が違うのでしょうか。
実は、香りこそはこの世とあの世を結ぶ媒体なのでございます。亡くなった方に回向を手向ける時、「お線香をあげに行く」と申すでしょう。お布施をあげに行くとか、お供物をあげに行くとは申しませんのですよ。
最近は、特に女性の間でお香がブームになっていると伺っております。眠りにつく前、気持の癒しになるのでございましょう。とてもいいことです。お香がもっともっと見直されるよう、私は切に願っているのでございます。