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真言密教
令和7年6月26日
このたび、あさか大師ご宝前に、弟子僧から寄進された特大五鈷杵が奉安されました(写真)。
五鈷杵とは代表的な密教法具のひとつです。本来はインドの武器でありましたが、煩悩を智慧に転ずる法具として用いられるようになりました。左右の中央に一本の独鈷杵(いっぽんどっこ!)があり、四方に四つの牙(鈷)があります。つまり五つの鈷が仏の五智を示します。
お大師様も立派な五鈷杵を唐より請来されましたが、その現物は東寺(京都)の宝物館に収蔵されています。私も拝観したことがありますが、お大師様が実際にお使いになられたというだけで緊張し、立ちすくんでしまいました。
真言密教の法具は単なるお飾りではありません。それらはすべて、仏の悟りを象徴するものです。残念ながら今日では、密教法具を製作する職人さんが少なくなり、その値段が大変に高価になりました。弟子僧が購入を希望するたびに、私も悩みます。伝統工芸の技術を維持することの難しさなのでしょう。