令和5年2月24日
前回、私は「この世で所有するものは何もない」と言い、天与の預かりものだと言い、どれだけ預かれるかは徳のいかんだとお話をしました。今回はちょっと、その続きのお話です。
皆様は大切なものを失くして、困った経験がありませんか。落とし物や忘れ物をして交番や駅長室を訪ねた経験はありませんか。また、盗難にあって途方に暮れた経験はありませんか。こうして、自分の所有から離れたものを、総じて〈失物〉と呼びます。
失物をする原因は、注意が散漫であるとか、そそっかしいとかの性格が大きいかも知れません。また、偶然という範疇で考えられるかも知れません。しかし、この理由が「荒神さまからお叱りを受けたからです」といったら、皆様は驚くでしょうか。しかし、これは間違いのない事実です。不敬によって、徳を失ったからです。
荒神さまは正確には〈三宝荒神〉といい、昔は〈竈の神さま〉として信仰されました。つまり、火を使って生活をする以上、そこには必ず荒神さまがおり、家の中を守ってくださるとされて来ました。現代の生活では、ガス台やIHがこれに該当します。したがって、荒神さまのお札があろうがなかろうが、信じようが信じまいが、火を必要とする家には必ずいらっしゃることになります(写真)。
昔は神棚や仏壇の前はもちろん、竈の前で腹を立てたり、悪口を言ってはいけないとしつけられました。荒神さまへの不敬になるからです。そして、真言密教においては、それが失物の原因だという伝承があるのです。まさかと思うでしょうが、私は失物を見つけ出す方法として、どれほどこれを実証して来たかは数知れません。もちろん、私自身も何度も実証しました。これを「失物発見法」として弟子僧はもちろん、ご信徒の方にもお伝えして来ました。今でも、多くの方々に感謝をされています。
方法は簡単です。ガス台かIHのスイッチを入れ、お線香を一本立てます。そして、「過ちを犯しましたなら、どうぞお許しください」と念じ、般若心経と荒神さまの真言(オン ケンバヤケンバヤ ソワカ)を唱えればよいのです。家の中で紛失したものはスグに出ます。外の場合は少し時間はかかりますが、そのまま見つかる場合、財布のお金だけが抜き取られて見つかる場合、形跡が見つかる場合など、何らかの結果は必ず現れます。
皆様もガス台やIHのスイッチのそばではもちろん、家の中で腹を立てたり、悪口を言ってはならないと自戒しましょう。そして、もし失物をしたならば、心から荒神さまにお詫びをしましょう。現代生活に「何が竈の神さまか」などとあなどってはなりません。どんな時代であっても、神も仏も荒神さまも、間違いなくいらっしゃるからです。
なお、あさか大師では荒神さまのご加護がある火伏札(火難よけ札・千円)を元旦からお授けして、台所に貼っていただいています。(写真)。
目にするたびに荒神さまを意識しますし、不敬を慎む習慣が身につきます。この火伏札にも不思議な霊験は数知れません。ご希望の方はホームページ「お問合わせ」からお申し込みください。不思議ですよ、本当に。