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文化
令和6年8月23日
本日は毎日のお護摩を修した後、東京国立博物館での『神護寺特別展』を拝観してきました(写真上)。展示された〈高雄曼陀羅〉や〈五大虚空蔵〉などにも関心を持っていましたが、私のお目あてはお大師さまの筆跡である『灌頂暦名』でした(写真下・筆者蔵本)。
〈灌頂暦名〉は弘仁三年十一月十五日と十二月十四日の両日、京都・高雄山神護寺で挙行された日本最初の灌頂に入壇(参加)した方々の名を列記したものです。筆頭に後の伝教大師〈最澄〉の名があり、一時は伝教大師が弘法大師の弟子になったという事実が証明されることでも知られています。
もちろん、次々に入壇する方々の名をメモのように筆記するわけですから、ところどころに間違いもあって塗りつぶした箇所があります。それでも、この名跡が国宝と指定されるゆえんは、何といってもお大師さまの真蹟とされるからです。
私はお大師さまの最も著名な真蹟である『風信帖』(伝教大師にあてた手紙)は、これまで二度ほど拝観しました。しかし、この『灌頂暦名』は初めての拝観だったのです。まさにお大師さまの呼吸を、肌で感じる一瞬でした。今日という日は、お大師さまに直接に拝謁したような、忘れがたい邂逅として残ります。