令和2年7月27日
平成25年7月22日午前9時15分、さいたま市のJR南浦和駅の京浜東北線ホームで、電車から降りようとした三十代の女性が誤って車両とホームの間に足を踏みはずし、腰まで挟まれるという事故がおきました。ちょうどその時、読売新聞の某記者が居合わせ、その救出劇を写真入りで報道しました。
その報道によりますと、事故のその瞬間、ホームに「人が挟まれています」というアナウンスが大きな声で流れました。それを聞くや、車内の乗客40名が自主的に降車し、駅員と共に全員で車両の側面を押し、ホームとの幅を懸命に広げました。数分後、その女性が無事に救出されるや、一同から拍手がわき起こりました。そして、その電車は8分遅れで運転を再開しました。女性は念のため病院に運ばれましたが、目だったケガはありませんでした。
普通、車両とホームのすき間は20センチ程度なのですが、そこはいくらか広く空いていたようです。事故のあった車両は10両編成の4両目で、1両の重さは車輪を含めて32トンもあります。しかし、車台と車体の間にサスペンション(懸架装置)があり、伸縮させて車体だけを傾けることが出来たのです。このサスペンションが女性を救ったのでした。いや、駅員と共に車両を押した乗客の力が、この女性のいのちを救ったのでした。
そして、この報道はたちまち世界中に伝わりました。米国CNNテレビは、「日本からのすばらしいニュースです」という前置きの後にこの救出劇を報じ、「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に対応しました。おそらく、日本だけでおこり得ることでしょう」と結びました。英国各紙はロイヤルベビー誕生の特集を組む中、ガーディアン紙は「集団で英雄的な行動を示した」と、駅員と乗客がいっしょになって車両を押している読売新聞の写真を公開しました。
イタリアの主要紙コリエーレ・デラ・セラは、「イタリア人だったら眺めるだけだったろう」とウェブサイトにコメント。中国寄りの論調が強い香港のフェニックステレビのウェブサイトは、「中国で同様の事故がおきれば、大多数が野次馬となって見物するだけだ」と。その中国も、国営新華社通信が日本での報道を論評ぬきで転載し、韓国でも同様でした。
ロシアの大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダは、「どうしてこんなに迅速な団結できたのだろう。われわれロシア人も他人のいのちに対して無関心であってはならない」と。タイのメディアも、「日本がまた、世界を驚かせた。日本人はどのような教育を受けているのか」と。そのほか、各国のメディアが称賛しました。
冷静さと、思いやりと、団結力と、日本人はこの誇りを忘れるべきではありません。JR南浦和駅は電車路線の乗り換え所で、あさか大師にご参詣の皆様もよく利用します。日本人の誇りを、皆様にもお伝えしましょう。