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仏像
令和5年11月27日
あさか大師の護摩壇の脇に大きなお不動さんが安置されています。これは私の友人であった故・水野只道氏が礼拝していたもので、遺言によってここに移されたものです(写真)。
水野氏は八丈太鼓(八丈島に伝わる郷土芸能)の継承者で、各地の催場で演奏を続けつつ、後進の指導にも尽力しました。太鼓への求道心は強く、深奥の境地に向かって精進を続ける毎日でした。
ある夜、氏の夢枕に不動明王が立ち、あまりの気迫に目を覚ましました。お不動さんにもいろいろな尊像がありますが、その時のお姿が、いわゆる〈立ち不動〉であったことは間違いありません。
ところが数日後、さる店頭でその夢枕とそっくりのお不動さんに出会ったのです。また奇妙なことに、意外なところから突然の収入もあり、氏はさっそくそのお不動さんを購入しました。こういう時には、不思議とお金の都合がつくのでしょう。体長三尺二寸(約96センチ)で、高野山南院の有名な〈波切不動〉と同寸です。
私は氏の招きで、毎月28日には目黒区の自宅に出向いて読経をしていました。昨年、氏は惜しくも他界しましたが、あさか大師での一周忌法要ではお弟子さんたちによって追悼演奏が捧げられました。私がこのお不動さんを継承したのも、奇しき縁というほかはありません。