黒のタイトル

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九星気学

令和元年8月10日

 

松本清張の小説は、若い頃にほとんどを読みました。

実は、彼の小説には『黒の様式』『黒の本流』『黒皮の手帳』『黒地の絵』『黒い画集』『黒い福音』など、〈黒〉のつくタイトルが多いのです。また、小説以外でも『日本の黒い霧』があり、まるで黒の呪縛じゅばくにかかったような印象すら受けます。このことを、皆様はどのように思いますでしょうか?

松本清張は明治42年(1909)12月21日、北九州市小倉の生まれで、本命は一白水星です。このことは、彼の人生や小説を理解するうえで、きわめて重要な意味があることをお話しましょう。

一白水星には思索・秘密・読書・執筆・色情・不倫・犯罪・暗黒・孤独などの意味がありますが、このような言葉の列記だけでも、あの分厚い眼鏡をかけてタバコをふかしている象徴的な写真が浮かぶようです。寛容な見方をしても、彼の小説は明るい家庭よりは夫婦の破綻はたん、居酒屋での楽しい宴会よりは暗くて孤独なバーなのです。

ところで、一白水星には〈白〉と共に、反対の〈黒〉の象意があります。なぜかといいますと、〈水星〉のしょうを考えればすぐにわかります。水は高い所から低い所へと流れます。暗い穴の中へも自由に入れます。だから、穴の中の暗い黒の象意があるのです。

松本清張にとって、黒は人生のテーマといっても過言ではありません。そして、一白水星を代表する人物として、私はいつも彼を引き合いに出しています。久しぶりに『松本清張傑作短編集』でも読んでみましょうか。

山路天酬密教私塾

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