「三大不心得」の教訓

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人生

令和2年8月4日

 

「医者の不養生ふようじょう」と「易者の身のうえ知らず(不知)」と、そして「坊主の不信心」を、私は「三大不さんだいふ心得こころえ」と名づけています。そして、これを自らも教訓として戒めています。

まず「医者の不養生」と言いますが、お医者さんは特に忙しいので、自分の健康にはなかなか気配りができません。意外に〝病人〟が多く、痛々しい実態があるのです。トップに挙げたのも、笑い話では済まされないと思ったからです。

医師や医療従事者への情報サイト『日経メディカルОnline』(「2014年6月9日)によりますと、医師2286人を対象に「持病はあるか?」のアンケート調査に対し、約68パーセントの方が何らかの持病があると答えました。最も多かったのは高血圧で536人、次に脂質異常症が478人、花粉症などのアレルギーが410人で、そのほかに腰痛・関節痛が318人、高尿酸血症が216人、糖尿病が151人、胃炎・胃潰瘍が131人、不正脈が105人などで、持病なしは740人で約32パーセントという結果でした。もちろん、一人で複数の持病があるという方もおります。また、年齢につれて該当者が増すのは当然で、30代で50パーセント、60代で80パーセントの医師に何らかの持病があるようです。

これというのも、多くの医師は忙しさのうえに病院経営の管理職として、重荷とストレスを背負っているからなのでしょう。患者さんに高血圧の処方箋しょほうせんを出すと同時に、自分も降圧剤を飲んでいる医師は、何と80パーセントにも達しているといいます。世間には知られていませんが、いやはや驚くべき結果というほかはありません。押し寄せる患者さんに追われながら、影でこんなことが起こっている事実を、皆様は何と思いますでしょうか。

『易者の身のうえ知らず』はどうでしょう。ご存知のとおり、占いはよく〝当たり〟ます。しかし、易者さんもまた、意外に自分のことはわかりません。また、人相や手相、方位や家相、名前の画数や印相(印鑑)を鑑定しても、積徳せきとく(功徳を積むこと)の大切さを説きません。これは占いという〈術〉におぼれるからです。つまり、占いが人生を決めると思っているからです。人生の結果、つまり生き方の結果が占いであることに気づかないからです。

紙面がなくなりました。『坊主の不信心』は檀家だんかさんのことには熱心でも、自分の家の先祖供養を怠る住職への笑い話です。また、毎日の〈おつとめ〉もしないような本堂に、檀家さんがお参りするはずはありません。住職は檀家さんのお手本となるよう、自らを戒めるべきです。人のことは見えても、自分の足もとはなかなか見えません。自分を省みることの教訓は、「三大不心得」ばかりではないこともお伝えしておきます。

山路天酬密教私塾

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