仏さまの三身

カテゴリー
真言密教

令和2年11月2日

 

「仏さまはどこにいらっしゃるのですか」という、素朴な質問を受けることがあります。そこで、仏さまの〈三身さんじん〉についてお話をいたしましょう。

まず、仏さまは私たちの心の中にいらっしゃると考え、これを「法身ほっしんの仏さま」と呼びます。この法身の仏さまがいらっしゃらなければ、私たちはお参りをしたり、読経をしたりすることはありません。修行を志すこともありません。

そして、お寺にお参りをしたり、読経をしたりする以上、本堂には仏像や仏画がまつられていますので、これを「応身おうじんの仏さま」と呼びます。つまり、仏師によって彫られた仏像や、絵師によって描かれた仏画を入魂開眼にゅうこんかいげんすれば、これももちろん立派な仏さまなのです。決して、単なる美術品などと思ってはなりません。

皆様は奈良や京都に行って、〝仏さま〟を拝観したいと思うはずです。国立博物館で「〇〇寺名宝展」や「〇〇仏教美術展」が催されれば、何時間も並んで入場するはずです。そして、その高貴なお姿にうっとりとするはずです。仏像や仏画の絵葉書まで買うはずです。どうしてなのか、わかりますでしょうか。

これは皆様の心の中にいらっしゃる仏さまが、同じ仏さまを求めるからなのです。つまり、類が類を呼ぶのです。そうでなければ、わざわざ交通費を払って出かけるはずがありませんし、出かけるための時間を作るはずもありません。仏さまは私たちの心の中に、間違いなくいらっしゃるのです。また、心の中に仏さまがいらっしゃらなければ、仏師や絵師が仏さまをこの世に彫り出すことも、描き出すこともできません。

そして、この仏像や仏画を入魂開眼するためには、法界(曼荼羅世界)から「報身ほうじんの仏さま」をお呼びする必要があります。法界の曼荼羅世界とは、この自然界、あるいは宇宙のことです。この法身・応身・報身を仏さまの三身と呼びます。真言密教の行者が修法をする時は、心の中の本尊と、本堂の本尊と、法界の本尊の三身を冥合みょうごうさせ、この世に仏さまを顕現けんげんさせるのです。このお話、とても大事ですよ。

山路天酬密教私塾

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